伸ばし伸ばされた二人

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 そうと決まればすぐに実行せねばと二人は各自パソコンの前に座り、波多野は波多野の、佐々木は佐々木の写真を“盛りまくり.com”の画面にドラッグした。  そして、波多野はプロンプトに“髪の毛無くす”と、佐々木は“まつ毛を消す”と入力する。 “加工中”の画面が表示され、砂時計のアイコンがぐるぐると回る。しかし、待てど待てど、加工後の画面に切り替わらない。 「遅いな…」 「遅いっすね……」  バレる前に対処したい、その気持ちで一杯だった二人は焦りと苛立ちを隠せない。 「あー、もう早くしろ!!」  波多野がパソコンに怒鳴った直後、ページが再びプツンと閉じてしまった。 「あ」 「あ」  一緒に結果を待っていた佐々木のパソコンのページも、ほぼ同じタイミングで閉じていた。 「「あぁァーーー!!?」」  二度に渡り不具合を起こしたサイト。これには二人も呆れ返る。  せめて、バグで画像が判別不能にでもなってしまった方が誤魔化せるかもしれないと思った波多野は、確認のため共有フォルダを開く。 ……が、フォルダの中身が空っぽになっていた。 「あれ?写真が無くなってるぞ?」 「え、まじすか?」  大量に保管されていたはずの社員の写真が一枚も見当たらない。波多野と佐々木だけでなく、社員全てのデータが綺麗さっぱり消えていたのだ。  これも不具合か?と思ったその時、総務から再びメールが届く。 「ん?総務のお知らせメール… 写真の確認締め切り時刻となったので、こちらの内容でパンフレット作成依頼を外注いたします。不正利用防止のため、共有フォルダ内の写真は閲覧制限を掛けさせていただきますのでよろしくお願いします、と……」  メールを読み上げた波多野、その横で聞いていた佐々木の顔が、たちまち青ざめていく。 「わわ……どうしよう」 「さっきの加工データが無事更新されていることを願うしかないな……ハァ…」
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