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私って、女としてはダメだった?
あの娘より何が劣ってたの?
婚約破棄を決めてからも、元彼には聞けなかった。いろんなモノを失った後に、プライドまでズタズタにしたくなかったからだ。
部屋の姿見に映る自分を見て、「愚問だわ」と独り言を放って苦笑する。
三十歳。
年齢に沿った色気もなければ、もとから美しさとは無縁の容姿に、所帯染みた疲れが見て取れる。
いくら野菜育てたって倹約したって料理ができたって、セックスがヘタなら男にフラれる。
べつに、要に「まぐろ」だとか「ヘタ」だとか言われた覚えはないけれど、他の女を抱きたいなんて公言されるくらいだから、そうなんだろう。
「私だって満足したことないけどね」
もう一度独りごちりながらスマホを弄っていると、心美からメッセージが届いた。
【新しい職場どうだった?】
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