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そんな感じで、私は羽根くんとお別れした。
さようなら。
これからは、今まで通り、友だち同士で。
って、思ったんだけど。
何となく私はその日以降、羽根くんのことを意識して避けるようになってしまった。羽根くんのほうでも、私を避けていたんじゃないだろうか。あんまりお互いのことを見ないようになったし、姿を見つけるとわざわざ遠回りしたりした。
めざとい友だちは、早速気づいて何か言ってきた。でも「ほっといて」って言ったら、本当にほっといてくれて、びっくりした。言ったらちゃんと、伝わるんだ。
そうだったんだね、虹。
でも今日は、部活のことで羽根くんと話すことがあった。
「どうしよ、あれ」
「ああ、うん」
ぎこちなく用件だけ、用件だけ、と思って話し出す。棒読み。何だか、訳アリカップルみたい。
でもハッと気がつくと、いつの間にか二人だけになっていた。
それで、二人で帰るしかなくなり。
羽根くんと二人、並んで歩いた。
「何か一緒に帰るの久しぶり」
「ほんとだね」
学校を出ると訳もなくほっとして、いつも通りにおしゃべりできた。楽しかったこと、笑ったこと、ちょっと情けなかったこと。
羽根くんとの話は尽きなくて、むしろ増えていくみたい。分かれ道でも、「バイバイ」ってなかなか言い出せなかったり。
でも不思議。全然、いやじゃないんだ。
結局、私ってほんとは、羽根くんのことが好きなのかもしれない。
そうなのかも、しれないな。
帰っていく羽根くんを振り返って、そう思った。
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