雨と虹の交換日記

4/16
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 なぜか私だけ好きな子の名前を言わないのはおかしい、という話になって、ヒントは、とか、好きなタイプは、とか、質問攻めにあった。それで、頭がごちゃごちゃして、くらくらした。    私の好きな子? 誰それ? 何のこと?    羽根くん? 違うよ、羽根くんは部活の友だちだよ。    何を言っても、全然答えになっていなかったようだった。  どうしよう、どうすればいい。  友だちに嘘はつけない、でも。  嘘をつかなきゃ裏切りになる。  いや。  やだ。  無理!  その瞬間目をつぶった。そして、それから、目を開いたら、保健室で寝ていた。というわけ。  その間、何が起きていたか、私にはもう想像がついている。  多分「虹」が、出てきてくれたのだろう。  その夜、友だちからお見舞いのメッセージが届いた。  ねー雨大丈夫?  羽根くんも心配してたよー  てかやっぱり羽根くんだったかー  まさか告白するとはね!  応援するよ!  私も  私も  こうなったらクラスみんなで応援しよー! 「ああ、もう……」  うまい返事が返せそうになくて、「ありがとう」だけ伝えてスマホを閉じた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!