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私の記憶には、羽根くんに告白したなんていう事実は、ない。あったとすれば、それは「虹」が「雨」になって引き起こしたことだ。あの時、少し混乱した私を助けるために。
私は本棚の奥から一冊のノートを取り出して開いた。
虹へ
今日、私を助けてくれたんだよね?
ありがとう。
でも、ちょっと困ったことになったよ。
羽根くんと私は、友だちだったのに。
告白は、しないでほしかったな。
私、まだ好きな子とかは、いないんだ。
「好き」っていう感情も、よく分からない。
虹には分かるの?
分からないよね?
分からないなら、言わないでほしかったな。
雨より
これをいつ虹が読んでくれるのか、私には分からない。でもなぜか、いつも律儀に返事が返ってくる。
虹の返事は、少しぶっきらぼうだ。自分を「僕」と呼んでいることもあり、男の子なのかな、と私は想像している。
少し私よりも大人なのかもしれない。もしくは、私よりも少し楽に、シンプルに生きられるタイプ。
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