雨と虹の交換日記

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 でも時間が私のもとに戻ってくる以上は、その時間を生きるのは、私しかいない。私に与えられた時間は、私が生きるほかはないんだ。  なんて過酷なタスクだろう。生きることは、ひどく私の手に余る。  虹がいてくれてよかった。人生の片方を虹が持っててくれるから、生きていけるのだろう、こんな私でも、何とか、すれすれで。  悲しいのは、虹には決して会えないこと。「ありがとう」すら言えないこと。  交換日記のようなものを始めたのは、そう思ったのがきっかけだった。  虹に会いたくて。一言、お礼を言いたくて。  ある夜、思い立って一枚の便せんに手紙を書いた。小学生の頃だったか。上級生にからまれそうになった時だ。「虹」がうまくかわしてくれたせいか、私は結局無傷で帰れた。  今日はありがとう。  身代わりになってくれて  雨  そしたら翌朝、こう返事が返ってきたのだ。  身代わりじゃない。僕は雨のヒーローだよ!  虹  まさか返事がもらえるなんて。私は感激して、改めて虹にありがとう、と書いておいたのだ。 「虹」という名は、その時に知った。  
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