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春月春日 虹
気づけば三人くらいの女子に取り囲まれていた。
「ねぇ教えてよ」
「せめて好きなタイプだけでも」
「みんな言ったんだから、雨も教えてよ」
ん?
タイプ?
一人の女子がささやいてきた。
「雨はさぁ、羽根くんでしょ」
「羽根くん?」
「羽根くん」
「雨、分かりやすいもん」
あ、なるほど。
恋バナってやつ、ね。
雨の苦手分野だな、きっと。
それで僕の出番というわけか。
分かった、了解。
雨。
こういうのはだな。
「ん、そうだよ」
こう言ってやればいいんだよ。
「アタシの好きなのは、羽根くんだよっ」
ほらほら。女子たち、きゃー、とか、ええーっ、とか、大喜び。
少し軽薄なくらいでいいんだよ。しょせん休み時間の雑談に過ぎないんだから。
「やっぱり!」
「てかさ、二人仲いいし、もう付き合っちゃえば?」
「は? 付き合うって、何で? そんなんじゃないはずだけど」
「んなことないよー! 絶対羽根くんも雨のこと好きだよ」
「告白してみたら?」
「え、まじ?」
「そうだよ。告っちゃえ!」
「告っちゃえ!」
は? 何言い出してんだこいつら。
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