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リビングに戻るとタカはいなかった。出しっぱなしのシュークリームにかぶりつく。めっちゃ美味い!
部屋にいるのか? とノックすると扉が開き、腕を掴まれて引き摺り込まれた。
色々準備していたみたいで、遮光カーテンを引き、間接照明が淡く室内を照らす。アロマポットからほのかに香る匂いは何だろう? 極め付けにベッドヘッドにコンドームとローション。
「タカ、やっぱりやめにしないか?」
「何でだよ! ここまでセットしたのに」
「シャワー浴びてる間に萎えた。ってか、正気に戻った」
「無理無理! 俺、やる気満々だもん! じゃあマサはアロマの匂い嗅いどけ」
後頭部を掴まれてアロマポットに顔を近付けさせられた。こんな事しなくても部屋全体が匂うのに。
「これ、何の匂い?」
「ジャスミン。催淫効果があるらしいぞ」
「マジかよ。本当にやる気満々だな」
「当たり前だろ! 俺を抱くんだ。最高の環境で俺を抱きたい!」
「タカが抱くの、弟だから。お前じゃないから!」
「分かってるよ! 世界一綺麗な顔を抱くんだから、ちゃんとしないと。マサはこの匂い嗅いで、ミユキにでも抱かれる想像しとけよ」
「ミユキって誰だよ!」
「俺が考えたマサのイマジナリー彼女。ミユキは清楚な隠れ巨乳で一途な2歳年上の美人だ」
「……俺、ミユキめっちゃ好きだわ」
タカの言う通りの女の子を脳内で思い浮かべる。
「うん、マサの好みは知ってる」
「でも、待てよ! 俺はミユキを抱きたいけど、ミユキに抱かれたくはない」
「だったら世界一綺麗な俺に抱かれとけ!」
ベッドに押し倒された。背中が柔らかいマットに沈む。
「なぁ、何で服着てきたんだよ」
「だって、断ろうと思ったから」
「何で断るんだよ! 俺に抱かれるんだぞ? 両手上げて飛び跳ねるくらい喜べよ」
俺はタカと違って自分の顔に興味ないから、タカに抱かれるの喜べないんだけど。
タカにズボンと下着を一気に下げられた。えっ? そっちから脱がすの? 足から抜かれてポイっとベッドの下に放られる。目をまん丸にして驚いている間にTシャツの裾が捲り上がる。
タカが俺の腰に跨った。顔の横で両手を付いて俺を見下ろす。
タカは服を着ているのに、自分だけ胸元までたくし上げられたTシャツ1枚の格好で顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
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