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 陽が落ちて辺りが暗くなるのを待ってから、僕達はバイトの先輩の車に乗り込んで、その寺を目指した。  その寺は、大阪府と和歌山県の県境にある市街地から少し離れた山の奥にあった。  僕達は山の麓にある駐車場に車を止めて、大きめの懐中電灯を手に持つと、一列に並んで雑木林が生い茂る山道を進んだ。  始め僕達は大人数でいることもあって、軽口を叩きながら山道を進んだ。暗がりに包まれた山道は不気味ではあったけど、誰も恐怖は感じていなかった。  しかし、さらに道を進んだところで、仲間の一人が、「これ、やばいは、まじなやつやは」と言って足を止めた。  そして、雑木林の奥の方をじっと見つめた。    僕には何も感じとることが出来なかったけど、その仲間は段々、そわそわと落ち着きを無くしていき、「やばい、やばい、やばい、やばい、もう戻ろう」と言って俯いてしまった。  僕達は顔を見合わせて、どうする?と視線を交わした。
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