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俺達は大阪で忙しいながらも、充実した日々を送っていた。
シュウとサナの第一子が産まれ、名前はサナが”真”と名付けた。
記憶が戻ったワケじゃない、サナいわく、シュウの名前が漢字一文字で、それに合わせながら考えた名前だと…。
”真”と書いてマコト。もう一つの読み方に”シン”があるから、シュウの名前に近いという意味もあり、この漢字に決めたと笑顔でサナは言ったが、シュウは少し苦い顔をしていた。
マコトが泣き止まないと、一緒になって泣くサナを放っておけず、シュウは育休を取った。
会社では、イクメン社長なんて言われ、鬼軍曹と呼ばれてる俺とは、大違いだ。
そして第二子の出産には、シュウは抜けれない仕事が入っていて、俺が病院で待機していた。
元気な赤ん坊の泣き声が聞こえ、ホッとしたところに看護師がやってきて。
「有村さんの、お兄さんですよね?妹さんが、お呼びですよ?」
サナが俺を、兄と言ったのか?
俺は、少し構えながらサナの元へ行った。
「シーくん…私っ、私、どうして…」
「サナ…思い出したのか?」
「この子が、取り戻してくれたみたい…」
「そうか…」
サナは迷わず、産まれてきた子に”莉南”と名付けた。
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