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「大崎っ」家まで数メートルって所にある、コンビニの前を通り掛かった時、誰かに呼ばれた。
誰かに…いや、はっきり分かる声に。
「ここで何してんの?」
「あの、さっきゴメン」
「さっき?ーーあー、バスケ部キャプテン君?」
「うん」
「カレシ?」
噂では、アイツと雪村は、付き合ってるって事になっている。
俺は噂は嫌いだ、噂を信じるヤツも嫌いだ。
「違う、ただ小学校6年間、一緒のクラスだっただけのヤツ」
「は?6年間一緒って凄いな」
「最後には、呪われてるんじゃないかって思ったわ」
「呪いって…お前ちょいちょい、毒吐くよな」
ムッとした顔を俺に向けてくる雪村、無表情を崩して感情を出してくる雪村を、誰にも見せたくないって、少しだけ思った。
「あれぇ?シグレ兄ちゃん、デート?」
雪村から声の主に視線を移す。
俺より前から俺の家に出入りしていて、俺の腹違いの兄を慕ってるがゆえ、俺の事も兄ちゃんと呼んでくる子供。
母さんの病室に来た男、立花 仁の一人息子の、立花 侠也がランドセルを背負ったまま、俺と雪村を交互に見ていた。
「ませた事言ってんな。ただのクラスメイトだよ」
「なーんだ、じゃ俺、先行ってんなー」
キョウヤは、ヒラヒラの手を振って家の方に歩いて行った。
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