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だって、タクマと結婚したいと言いに来たサナの笑顔が、今でも俺の目に焼き付いて消えないんだから。
「え?…どういう事?」
「だから…覚えてねぇんだよ。誰の事も」
「大崎の事も?神代はっ?神代の事なら」
「覚えてねぇんだって!サナの記憶にあるのは、母親とシュウの事だけだ」
雪村にキツイ言い方をしたって、サナの状況が変わるワケでもない、雪村が心から心配し、サナの事を思って言ってるのに、俺は…。
「悪い、キツイ言い方した。近いうちにシュウがサナに会いにくる。それで状況が変わればいいが…」
「なんで…、なんでっ、サナさんばっか、こんな事に…。やっと神代と結婚できるとこだったのに…」
「まだ、タクマと結婚できないって決まったワケじゃねぇ、サナだって、すぐに記憶が戻るかもしんねぇだろ?」
「そうだよねっ?明日になったら、思い出してるかもしれないもんね?」
けど、俺達の希望も虚しく、サナの記憶は戻ってこなかった。
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