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サナの体が回復し、記憶以外に問題が無いと診断が下され、とうとう退院の日がやってきた。
「シグレさんも、来てくれたの?」
まだ慣れない、サナの「シグレさん」呼びに、顔を歪ませながらも「あぁ」と答え、シュウを見る。
「とりあえず、俺が泊まってるホテルに、サナを連れてく事にした」
「シュウ」
「サナの希望なんだ」
シュウはサナが入院中、サナには付き合ってる人がいるんだって事を、何度か伝えたらしい。
けど、決まってサナは「私が迷惑だから言ってるの?」と、返してくるらしく、サナに悲しい思いにさせたくなくて、シュウも言わなくなった。
その結果が、これか?
サナは、タクマのだろ。
タクマの家に居て、タクマに抱きしめられれば、そのうちサナだって…。
そう思うのは、俺のエゴか?わがままか?
「手ぇ出すなよ」
「シグレに、それを言う権利があんのか?」
「シュウっ!」
「俺の気持ちを受け入れるか、決めるのはサナだ」
「シグレ、俺は何度もサナに、神代 匠真の事は話したぞ」
念を押すように言って、シュウはサナを連れて、病室を出て行った。
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