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だからってワケじゃねぇけど。
「そういや」
「なんだ?」
「サナの口から、ソウタさんの名前なんて、出てきてねぇな、思い出してねぇんじゃね?」
「え…」
少しだけ、揶揄ってみた。
「マジで?え、俺って存在感薄い?マジで思い出してねぇの?」
予想通りの反応に、俺の心は少し和む。
そんな俺を見て、コウキさんが、何か言いたげな表情をしてるが、気付かないフリをした。
「なぁシグレー、コウは?コウの名前は出た?出てねぇの俺だけ?」
「アオ、煩せぇ。少し、黙れ」
「なんだよ、コウは忘れられたままでいいんだな?もう”コー”って言ってもらえなくても、いいんだな?」
「だから、煩せぇ。シグレに落ち着いて、飲ませてやれ」
ソウタさんも、きっと俺が”何か”を言えない事に、気付いてる。
わざと煩くチャラける時は、ソウタさんなりの気遣いだ。
それぐらい、長年一緒にいたんだから、分かってるし、有難い。
「抱えきれなくなったら、ここで独り言を吐けばいい。お前の独り言だったら、俺達には聞こえねぇ」
「そん時は、吐かせてもらう。でも、まだ大丈夫だから」
「そうか」
なぁタクマ。俺らには、こんな先輩達がいんだぜ?お前も1人で溜め込まねぇで、ここで吐き出せよ。
元々は、お前が近づいて、生き方を盗みたかった人達だろ?だから、頼れよ、この人達に…。
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