Chap.8

7/30
前へ
/250ページ
次へ
だからってワケじゃねぇけど。 「そういや」 「なんだ?」 「サナの口から、ソウタさんの名前なんて、出てきてねぇな、思い出してねぇんじゃね?」 「え…」 少しだけ、揶揄ってみた。 「マジで?え、俺って存在感薄い?マジで思い出してねぇの?」 予想通りの反応に、俺の心は少し和む。 そんな俺を見て、コウキさんが、何か言いたげな表情をしてるが、気付かないフリをした。 「なぁシグレー、コウは?コウの名前は出た?出てねぇの俺だけ?」 「アオ、煩せぇ。少し、黙れ」 「なんだよ、コウは忘れられたままでいいんだな?もう”コー”って言ってもらえなくても、いいんだな?」 「だから、煩せぇ。シグレに落ち着いて、飲ませてやれ」 ソウタさんも、きっと俺が”何か”を言えない事に、気付いてる。 わざと煩くチャラける時は、ソウタさんなりの気遣いだ。 それぐらい、長年一緒にいたんだから、分かってるし、有難い。 「抱えきれなくなったら、ここで独り言を吐けばいい。お前の独り言だったら、俺達には聞こえねぇ」 「そん時は、吐かせてもらう。でも、まだ大丈夫だから」 「そうか」 なぁタクマ。俺らには、こんな先輩達がいんだぜ?お前も1人で溜め込まねぇで、ここで吐き出せよ。 元々は、お前が近づいて、生き方を盗みたかった人達だろ?だから、頼れよ、この人達に…。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加