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俺は、雪村の肩を借りて起き上がる。
「手当っ、手当しなきゃっ、歩ける?うち近くだからっ」
「いいっ」
「だって、このままじゃダメだよ」
情けない姿なんか、見られたくなかった。
雪村にだけは、こんな姿を見せたくなかったのに…。
「うち、ここだから入って」
「家族いんだろ、俺みたいの入れたらお前が」
「大丈夫、いないから。ほら、早くっ」
いないって…。
どういう事だ?捨てられた?元から居ない、って事は無さそうだ。と雪村が入って行った一軒家を見上げた。
つうか、家族が留守の家に男上げるとか、危機感無さすぎだろコイツ。
「お邪魔します」
雪村しか居ないと言われていても、一応そう言ってから家に入った。
「えっと…何か飲む?」
「遊びに来たワケじゃねぇし」
「そ、そうだよねっ。手当!そう、手当だよねっ」
「なぁ、そういうのいいから、少し寝かせてくんね?床でいいから」
「じゃあ、ソファーでもいい?床だと体、痛いと思うし」
言葉に甘えるようにソファーに倒れ込み、俺は目を閉じた。
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