Chap.1

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「雪村っ、授業中だぞっ」ちょうど黒板から向き直った教師が、雪村だけを注意し雪村は素直に「すみません」と返事を返した。 「俺は?」 「えっ」 「俺も話してた、なのに雪村だけ注意受けるってフェアじゃない」 「そ、そ、そうか、じゃ大崎も授業中は静かにしてくれな」 「すみません」 なんだよ、これ。 まぁ今に始まった事じゃない、前の学校でも教師は俺と関わろうとしなかったから。 学校で注意受けたからって、家で話すかよっ。 ましてや、それで家の人間が、文句言いにくるワケないだろ、小学生じゃあるまいし。 それでも”一般人”からしたら、俺の家とは関わりたくないらしく、必要最低限の事しか言ってこない。 教師だって”注意”ではなく何故か”お願い”口調だ。 そんだけ俺の家は、特殊で煙たいモノなんだろう。 「ありがとう」 「は?」 「さっき、授業中」 授業が終わって雪村が礼を言ってきた。 「あー、だって事実じゃん」 「そうだけど、ありがと」 基本、無表情な事が多い雪村が、照れ笑いを浮かべた。 そんな雪村を、俺は素直に可愛いって思った。 クールビューティで人と群れない、近寄りがたいって陰で言われてる雪村。 でも雪村は、この学校で1番最初に、俺に普通に話し掛けてきたヤツだ。
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