アイライクウォーター

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 「アイライクウォーター」  高校の英語の時間。先生に好きなものは?と聞かれた河本直樹くんが言った言葉だった。河本くんは水泳部であった為、泳ぐのが好きだということを伝えたかった様子だった。  周りは何言ってるんだか、バカだなぁと笑っていたが、僕は違っていた。  水泳が凄く好きなんだ、すごいな河本くん。  そう思って、後ろの席だった河本くんの顔を見ると、えへへっと笑っていて、とっても…可愛いなと思った。  文化祭では僕が買い出し当番になった時、大丈夫?と心配してくれた。俺、この前の原付きの免許取ったんだ、送ってあげるよって言われたけど悪くて断ったよね。  「優ちゃんを乗せるために持ってきたから、乗ってくれないと嫌だ」  って言ってくれて2人でバイクに乗ったなぁ。凄い坂だったから怖かったけど、僕にヘルメットを被せてくれた手の温もりは未だに覚えてるよ。  水泳大会では、女子にいいとこ見せるって張り切ってたのに飛び込みに失敗して、先生に怒られてたな。怒られてるのに河本くんヘラヘラしてたなぁ。  優は思い出し笑いをしていた。  体育祭ではみんなでダンスを踊ろうってなったとき、僕は鈍臭いから絶対参加しないって言ったんだけど、俺が教えるからやろって誘ってくれたなぁ。結局、それがきっかけで他のクラスメイトとも仲良くなれたっけ。  卒業式ではわんわん泣いている僕に、ほらこれやるよって、一番下のボタンくれたなぁ。まだあのボタンは僕の一番の宝物だよ。  
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