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「どこ行ってたのよ、何してたのよ! 何で肝心なときにいないの!」
「いや……貴女が倒れてからすぐ、魔女のもとに向かって呪いを解かせたのだが……」
「え⁉」
「戻ってみたら貴女の姿はないし、小人達は泣くばかりで」
困ったように頭を掻く彼。
……そっか。
彼なりに考えて、すぐに行動に移してくれていたのね。
しかも、ちょっと待って。
呪いを解かせたって言ったわよね?
まさか、私が目覚めたのはそのおかげ?
じゃあ……
「私のファーストキスーッ!」
目覚めも何も関係なく、ただの奪われ損じゃない。あんなバカ王子に……
「キ、キス?」
「奪われたのよ! あの王子に。運命だのなんだのって。目覚めに関係なかったんなら、完全に奪われ損じゃない」
「……殺っとくか、あの王子」
おっと。落ち着いていた彼が再び鋭い眼差しを王子に向ける。
「そんなことしなくていいわ。貴方の剣が汚れてしまうもの。それより、大事な話があるわ」
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