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「はいもしもし、逢坂藍野です」
「あ、藍野さん。お久しぶりです、私です」
その声には聞き覚えがあった、いや忘れる事なんてできない。
私がアンドロイドという事を除いても、大きな依頼を持ってきた人だ。
「羽菜さん!お久しぶりです、元気にしてましたか?」
「はい、元気です。藍野さんはお変わりなく?」
「私も元気ですよ、なんなら大分暇を持て余してるくらいです」
彼女の事はよく覚えている。
三枝羽菜、アンドロイドの製造を一手に担う大型グループ「三枝インダストリー」の総帥、三枝未喜人さんの一人娘、そして次期総帥でもある。
そして、私の友達でもあります。
「どうしたんですか羽菜さん、また何かお困りごとでも?」
「そうですね、少し悩んでる事があるんです。結乃さんは其処にいますか?」
「マスターですか?居ますよ、今もキーボード叩いてます」
「でしたらすみません、結乃さんと共に聞いてほしい事があるんです」
「分かりました、ちょっと待っててくださいね」
通話を一時的に待機状態にさせてからマスターの方を向くと、そこでは片肘をついて顔半分を覆っているマスターの姿がありました。
「マスター?」
「本日は閉店だ、また用を改めてくれ」
「羽菜さんからですよ?」
「分かってる、だからそう言った」
「また新しいお仕事かもしれませんね?」
「だろうな、きっと大掛かりな奴だ」
「もうゲンナリしてないでください!怠惰ですよマスター!」
マスターの座っている椅子を掴んで私の方を向けさせる。
ついでにそのまま何回か回そうか考えましたがそれはまた今度の機会にしましょう。
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