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外の景色は段々と高いビルが顔を覗かせ、駅の雰囲気も近代的に変わって行く中、電車のアナウンスが聞こえてきた。
「間もなく未希先街、未希先街です。お出口は右側となります。混雑してますので降りる方の優先をお願いします」
ドアが開いて1歩を踏み出せばそこに広がっていたのは多数の土産物屋さんや駅弁売り場、それに小さなコンビニなどおよそ駅の中とは思えないほど様々な店が並んでいた。
「ここが未希先街、凄いね駅だけでこんなに広いんだ」
「あぁ、これだけ大きいのは初めて見たぜ。しかもこれホームだろ?」
「帰りのお土産には困らないね」
東雲や伊吹と思い思いの感想を口にしながら下に降りるとそこでは大勢の人がごった返す魔境だった。
今はお昼を過ぎたあたりだと言うのにこれから乗る人がいるのか、それとも今降りてきた人達なのか分からないくらい人、人、人の波が畝っていた。
「東雲、伊吹、離れないでね。流されたらきっとそのままだよ」
「爺さんから聞いた通勤ラッシュってやつか?にしたって多すぎんだろここ!」
「ノエルを連れてこなくてよかった、来たら絶対はぐれてるよ」
救命具についてるロープのように手を繋ぎながら、何とか歩を進めていく。
改札まで行くだけなのに着いた頃にはもうクタクタになっていた。
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