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EPISODE1 Look up謎の動画/Pick up謎の事件
マウスの動かす音とキーボードの音、たまに反対側にいる先輩の声。
それが映像研究会ことエイケンの作業風景だ。
そろそろ春休みも近づき、こんな時間ももうじき無くなるのかもしれないと思うと少し寂しくもある。
「なぁ蓮ーー!お前の代でやってくれよ!我がエイケンの栄誉である部活動への昇格を!部長権限で次の部長はお前に決めたからな!!」
「なんで僕なんですか、ほかにいい人だっていたでしょう」
「駄目なんだよぉー!夏休み以来部員の目線冷たいしこんな部活未満の研究会潰れちまえって他所行っちまったしさぁー!」
「完全に自業自得でしたよねあれ、何とかするために1人1個動画撮ってきてなんて無茶ぶりしてきたんですし」
「仕方ないじゃんかぁー!私の代で潰すわけにもいかなかったし思い入れはあるんだよぉー!!」
……なんて事はなく、延々と部長だった人こと稲川切嗣先輩の要望を跳ね除けるのに必死だった。
事前に部員への連絡も無くメッセージアプリで「何とかして♡」なんて言われたら大半の人は逃げるだろう。
結局のところ夏休み以降残ったのは僕と部長とあと数人だけ、しかもその数人も卒業するから残るのは僕一人だ。
それならいっそとも思うのだけど、ここでの学びもあるから無下には出来ない。
「なんなら様子見に来るからな!OBになって向こうでの生活落ち着いたら見に来るから残しておいてくれよ!!」
そんな風に喚きながら動画を編集している稲川先輩の手伝いをしていると軽くドアがノックされた。
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