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思わず目を見張る、今藍野と言った人の事を長く見つめてしまう。
だってその姿は僕たちが知る人間と同じなのにどこか違って見えた。
相手をよく観察するスキルは役者を目指していたころから持っていたけど、それが指の先や全体から無機質な感じをそれとなく感じさせた。
「あれ?もしかして実は相席NGでした?でしたら大丈夫ですよ、私向こうで待ってますので」
そう言われてようやく我に返る、一度言った以上それは失礼にあたる。
どうあれまずは座ってもらおう、話はそれからでも大丈夫だ。
「いえ問題ないですよ、こちらをどうぞ」
「そうですか?では失礼しますね」
席を用意して藍野さんを座らせる、場所は僕の隣の席だ。
東雲と伊吹の席は埋まってるし、その位置が唯一空いている場所だ。
対する東雲と伊吹もじっと目を藍野さんに向けていた。
「あれ?そういえばお三方は見ない人ですよね?」
「え、えぇっと、そうですね。僕たちはこの今日初めてここに来たんです」
二人が呆気に取られている以上僕が何とかして場を繋ぐしかない。
それにここで誤魔化しても悪印象だ、正直に言った方がいい。
「なんだどうりで妙な反応だなーって思ったんですよ。となるとちょっとした小旅行とかですか?」
「いえそれは……」
そこまで行って伊吹の方を見る、これは果たして言っていいものだろうか?
その頃にはようやく二人も戻ってきたみたいで今度は伊吹から話を続けた。
「そうじゃなくて、俺たちはとある動画が気になってここに来たんです」
「ほほう動画ですか、よろしければ見せてもらってもいいですか?」
伊吹はスマホを取り出してからその動画を藍野さんに見せ、それを藍野さんは食い入るように見ていた。
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