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アイツには悪い事をしたと思っている。
一緒に勉強を見てもらって、何かあれば聞いてきたり逆に聞かれたりと、それなりに楽しい時間は過ごさせてもらった。
それだけじゃない、アタシがスマホを持ってないって知った時にアイツは何とかしようと動いてくれた。
今すぐは無理でも、テストが終わったら一緒に選ぼうと言ってくれた。
思い返せば一緒に暮らしてからは、喧しくて、慌しくて、暖かくて、そんな日々が嬉しくて、楽しくて、明日が来ることが待ち遠しくなるくらい幸せだった。
───だから、それが嫌だった。
(……これでいい、アイツらも失望してくれたろ)
そもそも不良なんてのはあいつらが勝手に貼ったレッテルだ、そうすることで自分達は理不尽に負けないと言いたかったんだろ。
敵を作り、他者に憐れまれ、悲劇を演じることでそれに酔う、あいつらはそういう奴らだ。
そんな独りよがりに二人を巻き込めない、だからこれが一番いい方法なんだ。
(……アイツ、ショック受けるだろうな)
夜の風が冷たい、雑踏の灯りで目が痛い。
こんなのもう慣れたと思ってたのに、たった二ヶ月の日々がこんなにも身を苛む。
だけどまだだ、まだこの程度じゃ足りない。
完全な拒絶でなければ意味が無い、中途半端ならアイツは必ず引き留めようとする。
だから、もっと強く失望させる必要がある。
その為に、もう寝てるだろう時間に部屋に戻った。
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