EPISODE−3 Here comes a new teacher    生徒と不良と新任教師

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 「なんで……なんでお前は、こんなアタシのことを信じれるんだよ……」  吐く言葉は尽きた、もう何も残ってない。  何もかも真っ暗で、もう自分がどんな顔をしてるのかさえ分からない。  それでも頬に残る微かな熱だけは確かに感じられていて、その先には真剣なアイツの顔がそこにある。  「あの日から決めてたんだ、渡守さんを信じるって。どんなことがあっても私は渡守さんの味方でいるって」  「なんだよそれ……アタシになんの価値を見てんだよ」  「それは何もないよ、私がするのは渡守さんの味方だけ。何かになりたいなら渡守さんがそれになればいいんだよ」  「なんでだよ……訳わかんねぇよ……」  「じゃあ俗っぽく、渡守さんはなりたいものになればいいし、きっとなれるよ」  どこまでも優しくて、迷いの無い言葉。  ずっとアイツらと周りに利用されて、それしか価値の感じられなかったアタシが、嫌悪しながらもどうしても欲しかった言葉。  だからこの瞬間に悟った、もう無理だ。  もうアタシには、コイツの優しさを拒めない。  「……泣いてるの?」  「わかんねぇよ、んなもん」  「うん、ならこうしてあげる」  そっと肩ごと体が吸い寄せられ、胸の中に収められる。  離れようとしても出来ないのは、もうアタシがコイツのことを受け入れてるからだ。  だからきっと、今だけはかっこ悪い所を許してくれる。  「……辛かった」  「うん」  「不良扱いされるの、嫌だった」  「うん」  「アイツらの装飾品なのが、堪らなく嫌だった」  「うん」  「今回のテストも、凄く悔しかった」  「うん」  「だから、アタシは希望を見たい。アイツらの添え物じゃなくて、アタシの人生を生きたい」  「うん、手伝うよ」  「ありがとう、圭」  「どういたしまして、渡守さん」  「うぅ……うああああああああああああ!!!!」  人前で泣くのなんていつ以来だったのかもう忘れた。  それがアイツの前なのも嫌だったけど、それでも離すことなく背中をさすってくれた。  「辛かったね、頑張ったね。だからもういいんだよ」  その声は聞いたことないほど優しくて、そのまま私の意識もゆっくりと無くなっていくのだった。
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