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「ちょっと待ってよ、伊吹そっちは見えてるの? 」
「あぁ、居る。だけど地縛霊なのか浮遊霊なのかこっからじゃまだ判断できねぇ。だから行くしかねぇ」
「でもそれだと蓮一人でここ調査しなきゃ行けないんだよ? 」
「そりゃ分かってるがよ……」
うん、やっぱり僕には何も見えないし感じない。
確実に伊吹はそれが見えてるし、東雲もその気配は感じ取っているんだと思う。
となればその役目は二人に譲った方が良い。
僕は僕でやれる事をやろう。
「大丈夫だよ二人とも、僕の方でも調べとくから」
「ほんとか? 」
「ほんとかじゃないでしょ! そもそも私達から言い出したことなんだからそっちに責任持たないと! 」
「ううん、二人はそっちの方をお願い」
「でも、蓮はそれでいいの? 」
本音を言えば少し寂しい。
でも伊吹や東雲には幽霊になって困っている人がちゃんと見えて、確認できている。
それは僕にはできないことで、だからこそそれを感じとれる二人にその人を助けて欲しい。
そう思う部分もあるし、一人なら少し強引な調査も出来る、その部分で二人を支えればいい。
ただ一つに固執するよりそっちの方が早く済む。
「うん、伊吹、東雲、その人を助けてあげて」
「……わかった、蓮がそれでいいならいい」
「ほんとに悪い蓮、この埋め合わせはするからよ」
「分かった、期待してる」
うん、そう思ってくれるだけで十分だ。
そうして東雲と伊吹は何処かへと向かい、僕はその校舎を前に佇むのだった。
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