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「いいかい蓮くん、未知とはすなわち好奇心によって引き寄せられるものなのさ。この未希先街というのは実に面白そうじゃあないか。それをフイにしてしまうのは実に勿体ない。それに友人二人の誘いだろう?なら行かない理由なんて瑣末なものじゃあないか!」
「そうは言いますけど、僕が行ったところで」
「何ができるのかは重要じゃないのさ蓮くん。そりゃ能力を持つ人間なら様々なことが出来るだろう。君の演技力然り、私の編集力然りだ。しかし私も君も最初から得てしてそういうものを持っていた訳では無いだろう?全ては楽しそうという好奇心から生まれたものなのさ。そして今君はそれを感じつつある。違うかい?」
「……まぁ気になるのは確かにそうですけど」
「だろう!?そう思うそれはすなわち君の中に眠る好奇心の発露なのさ、迷う事はない、その衝動に身を任せてしまえばいい。我々のような学生は他者に迷惑をかけない限り、様々な衝動が赦されているのだから!!」
参ったな、たまに思うけどこの人前世はアジテーターだったかと思うくらい口が上手い。
それくらい今の言葉は僕の中で響いた。
好奇心に身を任せる、それは確かにやってみてもいいかも知れない。
そう思いつつある自分も確かにいるわけだし、二人もいる。
まぁ霊関連はその時考えるとしよう、その時出来る事を僕なりに何とかする。
それがいつものやり方だ、だから今回もそうしよう。
「伊吹、東雲、僕も行くよ」
「おぉ、さすが蓮!来ると信じてたぜ!!」
「稲川先輩、ありがとうございます」
「いいってことさ、楽しき事は良き哉だ。君たちも存分に楽しみたまえよ!ハーッハッハッハ!!」
伊吹は背中をバシバシ叩くし東雲も何でか安心してるし先輩は自分の事でも無いのに楽しそうだ。
けどこれが平和な日の僕たちの日々で、日常だ。
こうして僕たちは春休みを利用して未希先街へ向かうのだった。
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