EPISODE1 Look up謎の動画/Pick up謎の事件

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 季節はまだコートか長袖が必要になってくる3月の前半。  私は少し年季の入った家で簡単な料理を作ってました。  (これはもう少し煮込んだ方が美味しい、こっちはもういい感じですね)  舌に付いたセンサーが味の濃さや栄養素、それらを総合したうえで美味しい料理と数値化していく。  包丁の振るい方や出汁の取り方はずっと学んでる事ですし、それが誰かのために役立つのなら嬉しい事はありません。  そんな事を考えながら最後の一品を詰め終えて時計を見て見ればもう17時、私の本日の業務も終了の時間です。  「依頼主さーん、ご飯作っておきましたよー」  キッチンを離れてすぐ近くの居間に出来た料理を持っていく。  昔ながらのロッキングチェアに揺られながらウトウトとしているおよそ七十代前半のおばあちゃんが今回の依頼主さんです。  「あら藍野さん、ご飯まで作ってもらって悪いわね」  「いえいえ、このくらいはお安い御用ですよ」  「でも大変だったんじゃない?お庭の掃除やお部屋の掃除まで頼んじゃって」  「いつもやってる事ですし、これで喜んでもらえるなら頑張れますよ」  「そうなの、凄いわねぇアンドロイドって」  「はい、凄いんですよアンドロイドは」  笑顔を見せながら今日作ったご飯の紹介をしておく。  作ったのは冷蔵庫の中身を残さない、かつ数日は日持ちするように煮物や漬け物、後は温めるだけで簡単に飲めるお手製の味噌汁。  これなら温めるだけで食べられますし、腰の負担も少ないはずです。  それだけ説明してから、名残惜しいですけど玄関前でお別れです。  「それじゃありがとうね藍野さん、依頼料は振り込んでおくわ」  「はい、これからも何でも屋の藍野をよろしくお願いします」  軽く会釈をしてその家を後にする。  振り返ればそこには今日一日の頑張りである綺麗な庭が広がっている。  これならきっと休める場所が出来たとお孫さんやお子さんも大喜びですね。
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