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chapter 3
「ねえ」
私は彼に何度かそう声を掛けた。それでも、動いてくれない。私は寂しくなった。さっき視えていた柱は消えていた。柱はザラザラとしていて、何だか甘い香りがする。ただそこに靠れていたの。
焼き魚の匂いがする。多分、この辺りにある何処かの家庭は、鯖の塩焼きでも拵えているかも知れない。美味しそうだな、と私は思った。お腹が空いた。
風がぼーぼーと私の耳元で鳴っている。退屈なんてもんじゃない、何も思っていないの。
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