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4日目
あれから2日経ったが、やはりボタンを持っている者は現れなかった。正確には、「俺がボタンを持っている」とデマを言うものはいたらしいが、どれも偽物だったらしい。どうやって見分けたのだろうか?
ボタンを持っている者が現れなかったことにより、このままでは地球が爆発するのは確定だろうと世間では言われていた。
テレビでは、娯楽番組が消え、24時間ずっと、ボタンの話で持ちきりとなっていた。
世間でも陰謀論を唱えるものが増えたり、残り数日の命ならと、犯罪に手を染めるものが後を絶たなくなっていた。
犯罪率は元の7倍以上に膨れ上がり、世界は混沌と化していた。
逆に、残った数日を楽しむために旅行に行くものや、祭りを始める呑気な人までも出てきていた。
皆それぞれの楽しみ方で、残されているであろう数日を楽しんでいた。
かくいう僕も仕事をやめて、ボタンの話題に夢中になっていた。
「だって、仕事をするよりニュースを見ている方が楽しいからね」
今の人類はまるで、世界が終わるという前提で動いているようだった。
きっと恐怖を紛らわそうとしているのだろう。短絡的な行動だ。
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