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「聞けば良かったのかなとか…思って……」
「バカか!俺はそんなプレー望んでない!」
「雪の嫌な事して…離れたくない…」
「……雪が居なくなって…俺、どうしたらいいのか分かんなくなって……」
「手…震えて、上手く動かなくて…」
クソッ!
思い出しちゃったじゃないか!
「……背中は、嫌だ」
「え?…うん。触られるのが?」
「そう。夏のやらしい手で触られると、どうしていいか堪えられなくなるから嫌だ」
「……うん」
「あとは…好きにすればいいだろ」
「え?終わり?」
「終わり!!絶対嫌な時は、ギブッ!って言うから、イチイチ確認すんな!」
「背中は…どこから?ここは…首?」
「え?えっ…!~っ…そこっ…からっ!」
だからっ!
手つきがやらしいんだよ!
「じゃあ、下は?ここは背中?腰?」
「ひっ…!」
腰だって弱いんだから...
そんな気軽に触んな!
「そっ...っ!…んっ...!そこからっ…上っ…せっ…~っ!…背中っ!」
「分かった」
遊んでんの?
からかわれてんの?
「雪…」
「何?!」
ぎゅ~っと抱き締めてくる
「雪…」
「……何だよ?」
「ありがとう」
「……何もしてない」
「……っ死にに…行っちゃったのかなって…」
夏には、死にたいって伝えちゃってるから…
怯えてるんだ
俺は…突然だったけど
大切に思ってる人が
死にたがってるとか…
結構カオスだよな
夏が回してきた腕に手を乗せる
「とりあえず明日までって…約束したろ?」
「…ん」
「じゃ…そんな怯えんなよ」
「ん...はぁ~…」
「んあっ…!」
「え?」
「バカじゃないの?!人の首の上でため息吐くな!!」
夏から離れて距離を取る
息を吹きかけられた首を押さえる
ただでさえ、ずっと夏の髪が…
首やら肩やら当たって
くすぐったいの我慢してたのに!
バカじゃないの?!
「ご…ごめん」
何、意味分かんないって顔してんだよ?!
けど…
「別に…びっくりしただけ!嫌だった訳じゃない!」
めんどくせぇな!
こんなの疲れる
さっさと離れりゃいいのに
俺もめんどくさい!!
「雪…朝ごはん食べよ?」
「おお」
突然過ぎる
適当に朝ごはんを作って食べる
「今日こそ買い物行かなきゃ」
「じゃ、午前中のうちに行こ」
「あのさ。見て。もうほとんど分かんない」
手首を見せてやる
「もう、全然痛くない。1人で買い物行ける」
「……でも、一緒に買い物行きたいから」
「…っそ」
俺の手首には
もう...何となく赤いかな
みたいなのが残ってるだけ
そんな…辛そうな顔して視線逸らせる様な物
何処にもないのに
ご飯食べて
食器洗って
買い物行って帰って来たら
そろそろ夏が出掛ける時間で
忘れてないかな?あのバカ
忘れて空閑の奴とベタベタすんじゃないかな
ソファーに上がって後ろを向き
夏の部屋を見る
信頼という意味では
絶対俺より信頼してる
そんなの考えたって
しょうがない事くらい分かってる
心配だからって、毎日夏の隣に居るつもりかよ
ガチャ
ヤバっ
振り返ってソファーにちゃんと座る
適当にスマホをいじってると
「雪、行って来るね」
「行ってら~」
ソファーの後ろから声を掛けてくるので
振り向きもせずに答えた
「…………」
え?
何この沈黙…
「夏?どうかし…ふぁっ……んっ...!」
チュッ
「ちゃんと帰って来るから。行って来ます」
こ…こいつ!
人が心配して振り向いたら…
恥ずかし過ぎて目を逸らす
バタン
クッソ!
いい笑顔しやがって!
文句の1つも言ってやれなかった
ちゃんと帰って来るかどうかは…
夏の意思だけじゃ決まらないんだよ
帰って来るまで分からないんだよ
それでも少しでも安心させようと…
「思ってくれてんだろなぁ…」
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