雪side

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雪side

「はぁ~っ……疲れた」 自分の死ぬ事は毎日考えてるけど 夏が…とか 考えないから 相当…テンパった あの…カーテン開けられる瞬間…ヤバい 「はぁ~っ……良かったぁ…」 びっくりし過ぎて 洗面所そのままにしてったのはまずかった 夏…ドン引きしてたな 月曜日から、俺居なくなって大丈夫かな… さすがに突然1週間休んで、延長は無理だ なるべく動かないでもらわないと 俺よりは、ダラダラするの好きだから だまって横になってそうだけど 風呂問題だなぁ もう少し高めの椅子買ってこようかな そしたら、お互いもっと楽だ 意識すればする程恥ずかしいのに 夏の奴、大袈裟に騒ぎやがって 靴脱がせてる時の声から… 必死に我慢してるのに 介護に徹してるのに イチイチ意識させる様な事ばっか言って 「バカ夏…」 寝ている ソファーの上で寝ちゃったんだ 眠くても、1人で歩けないもんね あ…そっか 湿布… 病院から貰って来たの、こっち置いちゃったから 自分が痛みに弱くないせいか 人の痛みに寄り添えない 多分、けっこう痛いんだろなとか 痛がってる様子見るから分かるけど どうして欲しいのかが…… ソファーに座らせてすぐに貼れば良かった 「……いで…」 珍しい 夏、寝言なんて言わないのに 「…雪…」 …俺の…夢? 「…生きて………良か…」 それは 今日俺が思った事なんだけど 何の夢見てんだ? 俺が居なくなった時の夢? …俺と居るの、疲れるだろうな 夢の中でまで泣かされて 夏の目頭の辺りを、指で拭う 「…ん…?」 「夏、ベッド行って寝よ?」 「……イチゴ…」 イチゴ…存在忘れてたわ この状況で よく頭にイチゴが思い浮かぶな どんだけだよ 冷蔵庫から、イチゴを持って来る 「夏…イチゴ、持って来たよ」 「……ん」 眠過ぎて、食べれないじゃん 痛いし、いつもと違う動きとか… 疲れてるよな ソファーで横になったまま動かない 「イチゴ、明日にしろよ」 「……食べる」 目も開けれないじゃん 仕方ないので、ヘタを取って口に当てると 口だけ動かして食べ始めた 何…この人 イチゴ取り込まないと生きてけないんですか? もぐもぐゴックンとすると 「……まだ」 まだじゃねぇよ ったく ヘタを取って、口に当てると 「んん~っ…」 口を閉めた 何…要らないの? 「…逆……ヘタの方…」 逆? ヘタの方を寄越せと言う事? 先端じゃなく、ヘタ側を口に当てると もぐもぐゴックンと 満足そうに食べる 何コレ 「なんで、そっちからなの?」 「………」 おい! イチゴ食う以外は寝てんのかい?! 口に入れて ヘタを取って 口に入れて ヘタを取って ん? 「ぷっ……くっくっ……」 鳥の雛みたいに、少し口開けて待ってる なんで、これでちゃんと起きないの? 不思議過ぎる 「ほら、食え」 少し大きめのイチゴを入れようとすると 「…はっ…ん…ん~…」 半分寝てるから… 口を大きく開ける意欲がないから? 口を開けて、かぶり付こうとしては噛めず イチゴの前で、金魚みたいにパクパクさせてる 動画に撮ってやろうか おお…眉間に皺が寄った 貴重な顔だ そして、静かになった 諦めて寝たか 「……イチゴ」 まだ諦めてなかったんかい! 別の寄越せってか? しょうがないので、夏が食べれなかったイチゴを食べる 旨っ… 小さめサイズを選んで、次々口に入れていく どんどんイチゴが無くなっていく もう…大きめサイズしかないぞ? これならいける? パクパク これは? パクパク 「もう、おっきな口開かないと、食べれないよ?」 「…………」 いいのか? でも…口開けてる ~~~っ こんなの…やった事ないけど… 考えただけで恥ずかしいけど… イチゴの端にかぶり付く そのまま夏に口付ける 「…んっ…」 歯の間から舌を入れてイチゴを運ぶ 「…ふぁっ?…ん、んっ…ん?」 夏の舌に無事イチゴを運び終わり 口を離すと ガン見してる夏が居た 起きたんかい! じゃ、もう少し早く起きろよな 「固まってないで、残り自分で食べちゃいなよ。はい、今の残り」 「……え?…い…今…」 「~っ…夏が、おっきな口開けない上に、食べたがってたから!」 確認すんなよ! お互い恥ずかしいだろが! ソファーの下で、夏に背を向ける あとは、歯磨きして寝るだけ 明日は、お互い休みだから、ゆっくりか 明日、椅子見に行ってみる…か? 「んむっ…」 ん? 後頭部抑えられたと思ったら… キスされた なんで?! 「…んっ?…んんっ…」 イチゴ、くれようとしてる 要らない要らない 俺は夏じゃないんだ さっき1個食べたから要らないの 顔を抑えてる手を退けようとして 右手な事に気付く くそっ! 抵抗出来ないじゃん 仕方なく口を開くと 絶対夏の口に居た方が良かったイチゴが入って来る ったく… ん?! 「…んんっ!ん!…」 こいつ! 口の中にイチゴ入れたくせに キス続けてくる! ちょっと! 「…はっ…ゃっ…んんっ…」 喋ろうとすると イチゴ入ってるせいで 口の中唾液いっぱい… 溢れそうで喋れない 唾液が…多くて… なんか…変な感じ… 「…~~っ!」 夏の足に掴まろうとして… 左足…だめだ 右足…貸して… 「…んっ…んっ……ふぁっ…~っはっ…」 頭…変… クラクラする やめて…夏… イチゴ…口から…出ちゃう 「んっ…んんっ……んぅっ…~っ」 唾液…飲み込む…タイミング… イチゴ…噛めないから…飲み込めない 苦しっ… 気持ちいっ… 助けてっ… 「…~~~~~っ!!」 夏の右足… 気付いて… 入るだけの力で叩く 「~っ…んはっ…はっ…はっ…」 「…あ…ごめっ…えっ?!雪?!」 そのまま、後ろのソファーにもたれかかる 「…んっ…ごくんっ……んはっ…はっ…」 「ちょっと…大丈夫?」 全然大丈夫じゃない ふるふると首を振る 「えっ?大丈夫じゃないの?どうして欲しい?横になる?」 自分で床に横になる まだ…頭クラクラする 「はぁっ…はぁっ……」 死ぬかと思った そしたら夏、犯罪者じゃん 気を付けろよ 「…っつ!…雪?救急車呼ぶ?」 夏が、ソファーから下りて、俺の横に来た また…ソファー上がるの痛いだろが キスして救急車呼ぶ馬鹿が居るか! 「…っアホ…」 「大丈夫?」 「…口ん中物入ってる時に…キス続ける奴が居るか」 「お前だってさっき…」 「する方はいいんだよ!……される方は…死ぬかと思った」 「そうなんだ…ごめん。起き上がれる?起こそうか?」 くそっ! 散々やって、涼しい顔しやがって 「もうちょい…待って…」 こっちはまだ… クラクラ…ふわふわしてんだよ!
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