雪side

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しばらくして落ち着き、起き上がる 「ごめん、雪。大丈夫?」 「この馬鹿!考えたら分かるだろ!口ん中食べ物入ったら、唾液出る!そんな状態であんなキスされてみろ!イチゴは噛めないから飲み込めないし、拷問だわ!」 「そんな、苦しいなんて思わなくて、イチゴ、出しちゃえば良かったのに」 「…っ」 せっかく 初めて夏からキスで貰ったイチゴ… 出したりしたくないだろが… 「雪?怒ってるの?ごめんって。もう、あんな事しないから」 「えっ?」 「え?」 「別に…入れても……ちゃんと飲み込んだ後になら…いいけど……入れられるのが…嫌な訳じゃない」 なんでこいつ、分かんないの? なんで、こういう事、言わなきゃなんないの? ……ん? 「夏?」 「おっ…お前っ……そういう不意打ちやめてくれる?」 「夏が、分かってくんないんだから、しょうがないだろ?」 「じゃあ…普通にキスしていい?」 「だめ。お前は、月曜日まで無駄に動くな」 夏の体を支えてソファーに上げる 「はあ??せっかく2人して休みなんだぞ?」 「月曜日から、俺居ないんだから、少しでも安静にして治さなきゃだろ?」 「それは…分かってるけど…」 「とにかく、今日はお互い疲れてるんだから、もう寝るよ」 「じゃ、一緒に寝よ?」 え? どうした? 怪我して不安になってる? 「一緒に寝たら、夏ぐっすり寝れないかもしれないし、寝惚けて夏の手、潰したりしたらやだからだめ」 「……だめ?」 え? あれ? こいつ ペタッ 「夏…少し熱あるんじゃない?」 「そう?」 「そんな高い熱じゃないけど…具合悪くない?」 「具合悪くは…ない」 そんな寂しそうな顔すんなよ 「分かった。夏は左向きで寝てよね?俺、基本熟睡だから、気を付けれない」 「あ…分かった」 「夏、もっとこっち来てよ。これで落ちて怪我したら笑えない」 「じゃあ、雪しっかり支えててよ」 「だから、俺寝ちゃったら分かんないって」 「俺は、落ちる前に気付く。けど、支えてくれてると安心するから」 「…夏、ほんとに具合悪くない?手と足以外も、実は打ったとことかない?」 「ないよ。全部先生調べてくれた」 全部…調べて… 「………なんか…ムカつく」 「は?今の話の何処にムカつく場所があった?」 「知らない!」 「おい、言わなきゃ分かんないだろ?」 「いいから、もう寝ろ」 「ん…さすがに疲れた。雪もだろ?」 「うん…」 夏を胸元に抱き寄せると 夏の3点セットで… 夏が寝るの見てから眠りたいのに… 「夏…今度…甲冑(かっちゅう)買ってあげる」 「要らねぇよ」 「じゃあ…タクシーで移動…」 「車乗ってれば安全って訳でもないだろ?」 「………母さんの時は...」 「うん?」 「病院のカーテン……開けられたら…目瞑ってて…色んな機械と管に…囲まれてて…」 「……っ雪……1人だったの?」 「うん……病院の…カーテン…今日も怖かったけど…」 「っごめんっ…」 「夏…目開いて…喋ってくれたから…」 母さんは… そのまま1度も目も開けず 一言も喋ってくれなかったから だって… 「…口にも…管入ってたから…」 あんなの喋れる訳ない 綺麗な母さんの顔… 「…顔…おっきくなって…母さんじゃないみたい…」 「雪っ…」 「夏…生きてて…ありがとう」 「~っ!うんっ…ちゃんと居るだろ?」 ちゃんと居る 夏の声聞こえる 夏の匂いする いつもより少し高い体温 俺よりしっかりした髪の毛に顔を埋めて 眠りについた
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