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夏希side
病院のカーテン…
そんなの気になるとか
経験した人じゃないと分からない
俺には分からない
色んな…ちょっとした事が
気になったり、怖かったり
するんだろな
「ふっ…全然支えてないじゃん。もう熟睡…」
雪の腕から抜け出して、左の袖を捲る
すごい…傷だった
自分であんなに傷つけられるもの?
泣きながら?
笑いながら?
「…傷つけて…欲しくないんだけどな」
そっと、傷の上に触れる
そうしないと…
死にたくなる?
雪の左頬に触れる
傷…綺麗に治るかな
「…ん」
こんなんじゃ起きないもんな
雪の下唇を裏返す
だいぶ…良くなったけど
まだ口内炎よりは酷いよ?
「ん~?」
眉間に皺を寄せたので、手を離す
服の背中の裾を捲り上げて腰を見ようとすると
都合よく、うつ伏せになってくれた
全然俺と寝てる事気にしてないな
だいぶ…
綺麗になってる
また…
忙しくて寝不足の雪に戻るのか
それに少し
安心してしまうのが悲しい
「なぁ、雪…どうにかして…雪の記憶見れればいいのにな…そしたら…あいつら見付け出せるし…何したのか……」
知りたいけど
知りたくない
「雪…」
雪の柔らかい髪を撫でてキスをする
「俺、落っこちそうなんですけど」
落ちない様に、雪に抱き付いて寝ようと
雪に手を回すと
「…んはっ…んんっ…」
あ、くすぐったいか
腕を下ろして、俺の手を挟めてくる
「じゃ、もうちょいそっち行って?」
「………」
「お~い。触るぞ?」
腰の辺りを触ると
「んやっ!」
ドンッ
え?
「ちょっと…大丈夫?雪」
思いっきり飛んでって、壁に頭ぶつけたぞ?
寝てるけど
頭…たんこぶできてないか
背中とか、大丈夫?
寝てるくせに、なんて動きしてんだよ
もうちょい、そっち行ってって言ったけど
そんな、壁に沿わなくてもいいんですけど
「雪、ごめん。もうちょい、こっち来てもいいいよ。それじゃ、狭くて動けないだろ」
少し背中をこっちに押すと
「…つっ…!」
変に右手力入れちゃった
って…
ドサッ
俺の方に倒れてきたのを、避けれず
そのまま、押し倒された
「雪っ……ちょっと…退けて」
「…………」
なんで、こんだけ動いて起きないんだ?
「雪っ…」
「ん~…ん…」
お…少し動い…
「っ!……ゆっ…雪…ちょっと…」
動いたのはいいけど、耳元に口…
無理無理…無理だから!
「雪っ…もうちょい動いて」
「…んん~っ…夏…?」
喋るな!
「おっ…おいっ……喋んなっ…」
「…夏の…匂い…」
さっきまで喋ってなかったじゃん!
「……イチゴ…いらない……」
「~っ…喋んなって」
「…ハンバーガー?……食べる」
なんの夢だよ?
絶対イチゴの方がいいだろ
「あむっ」
「っ!!」
なっ…何してくれてんのこいつ!
俺の耳はハンバーガーじゃねぇ!
雪の頭を押さえる
「ちょっ…とっ……雪っ…~っ目覚ませ…」
「…マヨネーズ…」
「~~っ!!」
喋んな!
舐めんな!舐めんな!
無理無理!
無理だから!
力…入んない
あ…
頭じゃなくて…
くすぐったいとこ…
両手で、雪の背中を触りまくる
「んや~~っ!」
「…はぁっ…はぁっ…」
雪が…
起き上がった
「……え?…夏…なんで息切れてんの?」
「しっ…知らない!」
「えっ?…なんで俺…夏に跨がってんの?」
「知らないっ…」
くそっ…
左耳が
雪が舐めたせいで変だ…
拭いたいけど
拭うのも無理
泣きたくなってきた
「夏…震えてる?」
「震えてないっ!」
雪が俺の上から退ける
「俺…寝惚けて怖い事した?」
「してないっ…!」
「でも…夏……震えてるし…ごめん」
「うっ…ティッシュ…持って来て…」
「えっ?夏…泣いてんの?!ちょっと…」
雪が点けなくてもいい電気を点けた
けど、俺から退けてくれたので、雪に背中を向けて顔を隠す
左耳がおかしい
う~っ…
何とかして欲しいけど
触って欲しくない
どうすればいい
「夏、ねぇ夏…俺何した?ごめん」
「別に…」
「だって…夏…泣いてるし…俺、夏の上に乗っかってたし…絶対何かした」
「お前…寝相とかの問題じゃねぇよ。よく毎日ベッドから落ちないで寝れてるな?」
「……襲った?俺…夏嫌だって事した?」
「…少しだけ」
耳だけだけど
俺の弱点を
ハンバーガーと間違えて
「っごめん。怖かった?‥ごめん」
「怖くはない…ちょっと…」
刺激が強過ぎただけで…
「ほんとごめん。まさか、寝惚けて人を襲うなんて思わなかった。俺…誰とも寝ない方がいいのかも」
え?
じゃあ、俺とも寝れなくなっちゃうじゃん
「いや…襲うって言うか……お前…ハンバーガー食べる夢とか…見てた?」
「…さあ?覚えてない」
「ハンバーガーと…間違えて…食べただけだ」
「……食べたって…夏の事噛んだの?」
「…噛んで…~っ舐めてた」
「ええっ?!やらしっ!」
「お前だよ!お前がやったんだよ!」
「…信じられない…寝言はよく言ってるみたいだけど…どこ噛んだの?俺」
「……言いたくない」
言ったら絶対触って確認する
もうちょい乾くまで待って
「えっ?まさか…」
「おい!どこ触ろうとしてんだ!違う!」
雪が、俺のズボンの中に手を入れようとする
何考えてんの?!
「あっ…そっか…こっち?」
「~~っ!」
いきなり左耳触ってきた~!
せっかく、そっとしといてたのに!
「あ、ほんとだ。濡れてる。それでティッシュか…拭くね?」
「やめっ…雪…やめろっ…」
俺の耳に、なんの遠慮もなく触ってくる雪の手を掴む
「え?濡らしといた方がいいの?」
「違う!触んないで!」
「でも、触んないと拭けないよ?」
「自然乾燥!そっとしといて!」
「何言ってんの?1分もかかんないだろ?」
「えっ?ちょっ…~~っ!」
なんで…
なんで俺の意見取り入れてくんないの?
「えっ?まさか俺、奥まで舐めた?ごめん。ハンバーガーの夢なんか見てたかなぁ」
「ゆっ…雪っ…やだっ…」
ペシペシ叩いても全然やめてくんない
優しくしてくれてんだろうけど
それが、かえって…
「よし、拭けた…と思う」
「…っはぁ~っ…お前…~っ!!」
拭けたって言ったのに
指で…触ってきた!
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