夏希side

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「うん、大丈夫そう」 大丈夫そうじゃねぇよ! 気抜いた瞬間に耳触られた気持ち分かる?! 分かんないよな?! お前、何故か耳平気だもんな?! 「夏…そんなに泣く程?」 「~っうるせぇ!」 「右手下にして痛くないの?」 「左耳下にするよりマシだ!」 「夏の耳、どうなってんだろね?」 「俺が知りたいわ!お前のと取っ替えろ!」 「ごめん。俺のせいだった」 雪が、後ろから抱き締めてくる 「夏の耳、ハンバーガーだと思ったんだね?」 「馬鹿じゃないの?」 「夢だもん。しょうがいよ。美味しそうだったんでしょ?」 「…~っマヨネーズとか言って…いっぱい舐めてたっ…」 「ごめんって…泣くなよ。耳当て買ってやるから」 「要らない!」 馬鹿にしやがって! 「でも、もしもほんとに俺が襲ったら、蹴飛ばして」 「…は?」 「夏に乗っかっても寝てるなんて、危ない。夏泣かせたくない」 「襲ったって…別に……彼氏なんだから、いいんじゃねぇの?」 「夏、Mなの?」 「は?!」 「嘘。冗談。ちゃんと夏がいいって言った時じゃなきゃやだ」 自分で散々やっといて 何イケメンみたいな事してくれてんの? 「耳触んないなら、雪の好きにすればいいだろ?」 「…え?やっぱ夏、襲って欲しい願望あるの?」 「あるか!でも…一応彼氏な訳だし…一緒に寝てたら……そりゃ…そんな気分になる事あるかもしんないし…そんなの…一緒に寝た俺の責任だって少しはあるし…」 「んじゃ、早速…」 「えっ?!」 今?! 「冗談…怯え過ぎ。ってか…耳以外ならいいのかよ。どんだけだよ耳」 「うるせぇ…お前に俺の気持ちが分かってたまるか」 「でも…せっかくだから、やっぱ少し」 「えっ?」 「夏さ、男同士のまだ勉強不足って言ってたじゃん?」 「うん…」 雪が、服の中に手を入れて、腹を触ってくる 「お前…この前から、俺の腹触って何が楽しいの?」 「くすぐったがらないのが楽しい」 「っそ」 「俺さ。雅斗のとこ居た時、(ちか)も男で付き合ってて、男同士だから、そういう事しないんだと思ってたんだけど、雅斗が居ない時、悠が普通にするよ?って教えてくれた」 「ふ~ん?」 でも、雪が居る間は我慢してたんだろな 必ずどっちかが一緒に居たって言ってた ま、1週間だったけど どの位居るかなんて分かんなかったろうし それでも、居てくれたんだろな 「だって男なんて入るとこないじゃん?って言ったら、ケツだって聞いて……衝撃的過ぎた」 「まあ…そうだろうな」 「夏…入れられる自信ある?」 「えっ?……えっ?!」 びっくりして、顔だけ振り返る 「俺??俺、そっち側?!」 「分かんないけど…俺あんまり自信ないから」 「俺だって自信なんか、ある訳ねぇだろ?」 「だよね…俺達できないのかも…」 「えっ?嘘…」 「…ふっ…なんて顔してんの?そんなしたい?」 「なっ…!」 お前はしたくねぇのかよ! 顔を戻す 「大丈夫…いざとなったら俺でいいよ」 「は?なんでそんな簡単に決めんだよ?」 「だって、絶対痛いだろ?俺、夏より痛がらないもん」 「そっ…そういう問題じゃないだろ。痛いだけじゃないだろ?男が男に突っ込まれんだぞ?屈辱的じゃね?」 「ぶっ…!屈辱的…まあ…そうかもしんないけど、夏にでしょ?そんな風に思わないんじゃない?」 いや… 嬉しいけど すっげぇ嬉しいけど 「それさ、入れられる側も、気持ち良くなる訳?」 「なるらしいよ?」 「ケツに入れられて?」 「…ね?」 「……ちょっと…やっぱまだ未知な部分が多過ぎる…そうだ。(ちか)が教えてやるって言ってたから、今度ちゃんと聞くか」 「はあ??悠に聞くとかあり得ないから!」 「あのさ、雪。雅斗だけじゃなく、悠にも世話になったんだろ?なんで、そんな信用ないんだよ?」 雅斗と悠じゃ、全然態度も違ったぞ 悠だって、雅斗と離れても ちゃんと雪の事守ってくれてたのに 「…なんか、気に入らないから」 「雅斗が好きで、嫉妬してるだけじゃねぇの?」 「…っ…違うもん」 「図星だな」 「とにかく!夏の耳触って、キスしようとしてた事実があるんだから!夏は悠と会わないでよ!」 「だから、それは誤解だってば」 「そんなの、悠じゃないと分かんないもん!」 「うわっ…」 雪が、コアラみたいに、しがみついてきた 「何その声?もっと嬉しそうな声出せよ!」 「男にしがみつかれて、どんな声出すんだよ?」 「男って言うな。彼氏だぞ」 「彼氏は彼女じゃないから男だろ」 「……悪かったな…女じゃなくて…」 は? 「ちょっと…何マジんなってんの?」 「…そりゃ…俺だって分かるもん…こんな…くっついたって…夏が好きな、気持ちいい胸なんか当たんないし…」 「え?なんか…勝手に俺の性癖作り上げないでもらえます?」 「代わりに…当たったら気持ち悪いもの…当たるし」 「そりゃそうだ」 「……どっちが…どっちでも……絶対女の子の方がいいに決まってるし…」 何? どした?いきなり… 「……雪が無理矢理付き合えって言った訳じゃないだろ?なんで雪が悪いみたいになってんだよ?ってか…そんな風に言うって事は、雪がそう思ってるって事だよな?雪が女の方がいいんだろ」 「そりゃ…」 「そりゃ??ちょっとは気遣えよ!」 「だって…男なんて知らないもん、分かんないだろ?お互い気持ち良くなかったら…どうする?」 「お前…なんて絶望的な事考えんだよ」 そんなん考えたら 期待なんかなくなって 不安と恐怖でしかなくなるだろが 「雪…離して」 「え?……そんな…あからさまに嫌がらなくたっていいじゃん…」 ゴモゴモ言いながら雪が離れる ひっくり返って、その雪を抱き締める 「…え?」 「あのさ。お前がさっき言ったんだろ?男じゃなくて彼氏な訳。彼氏じゃない男に、こうやって抱き締められたら気持ち悪いだろが」 「雅斗は大丈夫」 「ここで嫉妬とか入れてくる?」 「……入れてこない。雅斗は、安心…夏は…泣きたくなる」 「え?泣きたくなるの?」 「…うん……凄く安心するけど…泣きたくなる安心……それで…夏の声と…」 「声?」 「夏の匂いと…体温あれば……あっという間に……眠くなる」 って…ほんとに寝そうなんですけど 「夏…おやすみ……」 「急過ぎ…けどまあ、熟睡中だったもんな。電気…電気…」 ピッ え? おやすみって言ったのに 凄い機敏な動きで電気消した 「ぶっ…くっくっ…何その動き」 「…夏…」 雪が俺の胸にすり寄って来た 「声なんて、そんな特徴的でもないだろ」 何がいいんだか 雪の髪がすぐ下にあるから 俺も眠くなってきた 「おやすみ…雪…」 まだ分かんないって事は まだ必要じゃないって事で……
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