雪side

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椅子…かさばる でも、この位高さあったら多分楽だ 絶対今日も、お風呂入るって言う 潔癖め 「天海(あまみ)?」 「え?」 「鷹瀬(たかせ)…久しぶり」 鷹瀬は、高2の時同じクラスで 結構仲良くしてた 「凄い偶然だけど…なんか、凄い荷物だな」 「まあね。鷹瀬も、この辺に住んでるの?」 「まあ…ちょっと歩くけど……怪我?」 鷹瀬が俺の頬の絆創膏を見る 「ちょっとね」 「それ…荷物少し持ってやる」 「じゃあ…鷹瀬の家の方向と別れるとこまで、お願いします!」 「っと…任せとけ」 鷹瀬と話してると なんか… そう言えば…こんな感じだったな 大学の友達とは少し違う 懐かしい 「俺ん家、そこ」 「え?そうなの?しょっちゅう、ここ通ってたよ」 「マジか。会わないもんだな?」 「ありがとう、鷹瀬」 「天海の家は、ここからどの位?」 「7、8分」 「なんだ。じゃあ、このまま運んでやるよ」 「え?そんな悪いって~」 「顔が全然悪そうじゃないな」 懐かしい 鷹瀬と居た頃は 今みたいに色んな事考えてなかった 母さんも…生きてた… 早く自立して、母さん助けたいって… 「……って、天海!」 「え?」 急にぐいっと引っ張られた 「うわっ!」 「わっ!」 何? 反動で、鷹瀬に倒れ込んだ と、思ったら俺達の横を自転車が通り過ぎた 「鷹瀬!大丈夫?!」 「ってて…大丈夫。尻もちついただけ」 「ごめん。俺、考え事して気付かなかった」 「うん。全然気付いてなかったな」 「立てる?」 「おう」 自転車… 夏も、こんな風に… ん? なんか… なんの匂いだろ? ……タバコ? 「鷹瀬…タバコの匂い?」 「あっ…臭い?やっぱ臭いよな?」 「タバコ吸ってるの?」 「いやいや。パチンコだよパチンコ。ちゃんと喫煙室で吸って来てもさ、隣に座った人が、臭い染み付いてたりするとね…今日、両隣挟まれて、席替えようとした途端、当たっちゃってさ、立つに立てず…」 「鷹瀬…パチンコするんだ。勝つ?」 「たまにね」 たまに… それ以外は勝てないのに 勿体なくないのかな 「ありがと、鷹瀬。すっごく助かった」 「ここに住んでんの?!これ、学生が暮らすとこじゃなくね?!」 「そう。俺の叔父さんの関係で、住まわせてもらってる」 「羨ましい~。ほい。今度遊ぼ」 「ありがと。俺、バイトで埋め尽くされてるからな。遊べたらね」 「んだよ。もっとキャンパスライフ満喫しろよ。じゃな」 「うん。またね」 キャンパスライフ それを楽しんで 誰が喜ぶのか あんなに楽しみにしてた母さんは もう居ないのに 「ただいま~」 「お帰り…えっ?ほんとに椅子買って来たの?!数日しか必要ないのに。持って来るの大変だったろ!」 「大変だったけど、絶対必要。あと、途中友達に会って、手伝ってもらった」 「へ~?すげぇ偶然」 「うん。ラッキーだった」 片付ける物を片付けて 洗濯、掃除 「雪…ちょっとは休めよ」 「やる事残ってるのに休めないよ」 「一気にやんなくたっていいだろ?」 「やんなきゃなんない事増えたら、困るもん。出来るうちにやっとく」 「一休み」 ソファーに座ってる夏の隣に座る 「一休みのとこ、悪いのですが…」 「何?」 「トイレ…行きたい」 「いいよ」 「すんません」 夏に肩を貸して歩くと 「……雪」 「ん?」 「なんか…タバコの臭い…しない?」 「ああ…俺だ」 「えっ?!雪…タバコ吸ってんの?!」 さっきの俺と同じ反応… 「違う。さっき会った友達が……先にトイレ入りなよ」 「え…うん」 あ… 一休みしてる場合じゃない お昼だ 食パンと、生クリーム買って来たから 俺は食べないけど イチゴとクリームのサンド作ったげよう ガチャ はいはい 「え…その友達、タバコ吸ってるの?」 「…え?」 あ、さっきの続きか 「吸ってないよ。パチンコ行って、臭い付いたんだって」 「へぇ………そんな付くもん?」 「なんか、両側から喫煙者に挟まれたらしいよ?」 「違うくて」 ん? 何故ここで立ち止まる? 「ただ…荷物運んでもらっただけで、そいつの臭い…そんなに雪に付く?」 「…ああ…ちょっと…」 何て言えばいいんだ? 自転車って言ったら、タイムリー過ぎて、すげぇ心配しそう 「ちょっと…何?」 「俺、転んじゃって…立ち上がる時、手借りたんだ。その時、俺にもタバコの…んんっ!」 え? 「んっ…んんっ……んんっ…」 「はっ…何で……嘘吐くの?」 「…え?」 夏…痛くないの? 「何?無理矢理何かされたの?抱き締められた?キスされた?」 「ちがっ…んっ!…なっ…んっ…んぅ~っ…はっ…わっ」 夏が抱き締めてきた 「怖ぇよ…お前…ちょっと目離すと……何処で何してんの?」 「えっと…そうじゃなくて……ごめん。ほんとは違う」 「ほんとが…分かんねぇよ…」 「夏…心配するから…と思って……嘘吐いた…ごめん」 「次に言う事が、ほんとなのかも…俺には分かんねぇよ…」 「ほんとだから…夏……ごめん。ちゃんと話すから……座ろ?」 ダイニングテーブルを挟んで座る 「何?そういう事する友達なの?」 「違う。俺、考え事してたら、自転車来てるの気付いてなくて、何度か呼んでくれてたみたいなんだけど、俺が気付かないから、引っ張ってくれて…反動で友達の上に倒れ込んじゃって…その時臭い付いたんだと思う」 「…そ」 うっ… 信じてない
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