雪side

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雪side

ヴ、ヴ~ ヴ、ヴ~ ん? 朝… 朝だ! 今日からバイト! 携帯…携帯… 夏が邪魔 ずっとこうやって寝てたの? 下にしてた手…死んでる 腕を伸ばして携帯を取ってアラームを止める あれ? 俺昨日、動画…止めたっけ? 1番新しいものを再生してみると 「雪…好きだよ……死なないで…死なないで雪っ…」 「…うゆさい…」 ………は? 何…これ? こんなん撮った覚えないけど? 何? 動画…長過ぎて、これだけ別になった? 1つ前の動画を再生する 「はい、どうぞ」 「えっと…何から話せばいいかな…」 これは、知ってる 1番最後は? 「……夏が…終わらせたい時……終わりで……いい…」 「あのなぁ……って、寝てるし。結局何の話なんだよ……あっ!」 え? 夏が、終わらせたい時…終わりでいい? 何だっけ? 何の話だっけ? 「ん~?…雪…起きたの?」 「あ…うん…俺は起きるけど、夏は寝てて」 「俺も起きる…けど…」 「けど?」 「目覚めのキスして」 どうした? こいつ…こんなキャラだった? 「まだ夢見てんの?夢ん中戻ってしてもらいなよ」 「え?…俺、なんか寝言言ってた?」 「言ってないけど、思い当たる事ある夢だったんだ。夢ん中までやらしっ…」 「違う!目覚めて雪居たら、してもらいたいだろが!」 「なんで、俺もそうだって信じて疑わないんだよ?一緒にしないでよ」 「えっ?雪したくないの?」 したくないかと聞かれたら…… けど!今日から俺は忙しいんだ! 「……したら…時間……なくなる」 「えっ…雪…どんだけ激しいキスしようとしてんの?」 「違う!こうやって話したりして、離れたくなくなるだろ?!俺は今日から忙しいの!」 「はいはい。じゃ、俺も起きるから、ちょっと手貸して。左腕死んでる」 ゆっくり夏を起こす 右手怪我してんんだから、左手大事にしろよ 「俺達ずっとあのまま動かないで寝てたのかな?」 「そうかもな。雪は熟睡だし、雪の髪のお陰で俺も熟睡」 「変態。俺の頭によだれと…んっ…!」 ちゅっ 「1秒で終わるんだから、焦らすなよ」 「おっ…お前!自分で起きれんのに嘘吐いたな?!」 「ほんとだよ。まだ痺れてる」 「くっそ!朝からふざけんな!」 夏を置いて、さっさと身支度する 絶対俺をからかって遊んでる! 楽しんでる! 俺が主導権握ってた時代に戻りたい! 朝ごはんの準備をしてると… 「…ってて……っと…」 「え?夏、歩いて大丈夫なの?」 「うん、だいぶ大丈夫。明日から学校行けんじゃないか?」 「それはダメだよ。すぐそこじゃないんだから。駅には階段もあるんだよ?」 「ああ…まあ、エレベーターあるけど、めんどいな」 でも、ほんとに歩くの楽そう 酷い捻挫じゃなくて良かった 「旨っ…雪、卵焼き上手だよね?」 「そりゃ、毎朝ほぼ、卵焼きと目玉焼き作ってたからね」 「朝ご飯、雪が作ってたの?」 「だって、俺は制服着るだけでいいけど、母さんは…多分あまりしない方だけど、化粧したりとかさ、時間かかるだろ?」 「…優しっ…雪って、絶対いい夫になるよな」 「おっ…?!夫?!」 「え?なんでそんな過剰反応?あ…俺との結婚生活想像したの?俺は化粧しないから大丈夫だよ?」 「しっ…知ってるよ!バカ夏!」 「じゃ、1講目終わったら帰って来るから、大人しくしてろよ?」 「だから、帰って来なくていいって。またバイト行くの面倒だろが。1人で大丈夫だって」 「お前…昨日の夜の事、忘れたの?!ほんとは、念のため病院行った方がいい位だ!」 「雪が病院嫌いで良かった」 「とにかく!俺が帰って来るまで、黙って寝てろ!得意だろ」 「ひっど!俺が、すげぇ怠け者みたいじゃん?」 「んじゃ、行って来っから」 玄関に向かって歩き出すと 「冷たい……俺の彼氏…優しいはずなのに、俺には冷たい……これから1人寂しく家に居るのに…」 なんかめんどくさいのが、後ろでグチグチ言ってる 「夏、ソファーに座ったら、1人で立つの大変なんじゃないの?」 「………」 何? その無言の圧… たった数日前まで普通に親友やってたのが、嘘みたいだ ソファーに戻って、夏の隣に座る 「雪?」 「…ったく」 夏を抱き締めると 「雪…」 明らかに嬉しそうな声で、抱き付いてくる キモい なのに…それを嬉しいって思ってる自分もキモい なんで、こうなった? 親友のままのが、めんどくさくない けど… 親友で、ふざけてくっ付いてた時には感じなかった この…言葉で説明出来ない大切にしたい気持ち 「すぐ帰って来るだろ?」 「分かってる。ここんとこ、雪と居る時間長かったから…ちょっと…」 「俺の遺髪置いてく?」 「雪の頭がなきゃ意味ない」 「どんだけだよ。俺のベッドで寝ててもいいよ?」 「うん…不思議…こんなに離れたくなくなるなんて…俺もやっぱ明日から学校行こ」 「それは、今日安静に出来るか次第だな」 「うん…ごめん。もう行かなきゃな。ありがと、雪」 「うん。行くね」 「ん。行ってらっしゃい」 玄関を出て鍵をかける エレベーターに乗って外に出る 「……何…これ」 何これ 何これ 俺ら新婚さんなの? 恥ずっ! じわじわくるわ 恥ずっ! それでも… 夏が寂しがるのなら また、ああするしかないか とか、考えられちゃう俺が信じられない キモっ!
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