雪side

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久しぶりの大学 五十嵐達に会いたい様な…会いたくない様な… 「しばらく見かけなかったと思ったら…」 「わっ!…美月(みづき)」 「随分男前になって、戻って来たな」 美月が、俺の左頬をジロジロと見てる 「今日のバイト、マスクしたら大丈夫だと思う?」 「全然大丈夫だけど、どうした?」 美月(みづき) 陽斗(あきと)は、大学の友達で、親戚がイベント会社に勤めてる関係で、そっち関係のバイトを紹介してくれる 「まあ…色々…元を辿れば、五十嵐達に合コン行かされたから」 「へぇ…天海が合コンね。何?ヤバい女に引っ掛かったの?」 「引っ掛からなかったけど…2度と合コンなんか行くか!ほんと腹立つわ、あの女!」 「まさか…その女がその傷」 「いや…これはまた別」 「なんか…大変だったんだな」 大変だった! バイト全部休むし! 夏は泣くし! けど… 悪いだけじゃなかったって思うのは 夏のせい 「もしかして入院とかしてたのか?」 「いや、家で休んでた。見た目がヤバいだけで、体は元気だからな」 「ヤバかったのか…言えば何か持ってったりしたのに」 「同居人居るから大丈夫」 「あ、そうなのか。そりゃ、同居人もびっくりしたろ」 「まあね。発見した時ヤバ過ぎて、死んでると思ったらしいから」 「は?どんな状況だよ?」 「聞かない方がいいと思うけど…」 「じゃ、やめとく…怖っ…」 講義終わりっと 寂しんぼ夏のとこ行くか 「バイト、帰り遅くなるけど大丈夫か?」 「全然大丈夫」 「大学から、真っ直ぐ行くなら、一緒に行くか」 「いや、俺1回家帰るから。今度は同居人が怪我してんだ」 「は?!ちょっと…2人してお祓い行って来いよ」 「じゃあ、後で!」 美月が、なんか心配してくれてたけど それより、早く帰ってやんなきゃ 「ただいま~っと」 寝てるかもしれないので、静かに入る ん~? リビングには居ない 夏の部屋? 居ない 俺の部屋? ……居た 俺の枕を抱き枕にして、すやすや眠ってる 朝起きたばっかなのに、よく寝れるな さすがだ 台所に行って、適当に晩ごはんを作る 冷蔵庫入れて、チンしても大丈夫な物 何時に寝たんだか あの後すぐベッド行ったのか? ベッドで寝ていいとは言ったけど まさか枕を抱き枕にされてるとは… 枕に顔埋めてた どんだけ俺の頭好きなんだよ 「よし。これでご飯は大丈夫」 ホワイトボードに書いといて お風呂は、俺が入る時洗えばいいや 夏の元へ行く 気持ち良さそう 寝せときたいけど 起こさなかったら、後で文句言いそう 「夏…本物が居るよ?」 「………」 どんだけ寝てんの? 「夏、本物嗅がなくていいの?」 「………」 なんか…腹立ってきたな せっかく帰って来てやったのに 「……これ、1回離して?」 枕を取ろうとするが… なんちゅう力! ぐいぐい引っ張っても、引っ張り返す 何なの?! 俺より枕がいいのか?! 「……いでっ」 ん? なんか言った? まあ、いいか いい加減に…離せ!! ぐい~っ! 「行かないで!」 え? 枕をようやく取った瞬間 夏が目を覚まして… 泣いていた ……は? 「…な…なんで…」 「雪っ…!」 え? は? 泣きながら抱き付かれた 「え?ごめん。そんなに枕が良かった?」 「…っ…雪っ…雪っ…」 「え?何?全然状況が分かんないんですけど…」 「っ…行かないでって…言ってるのにっ…」 「え?」 「一生懸命っ…引っ張ってるのにっ…雪っ…俺置いてっ…行っちゃって…」 ああ… それで、あんな力入れてたのか まあ…俺だと思ってたなら、許してやろう 「そっか。そんな夢見てると思わないで、枕引っ張ってごめん」 「でもっ…夢で良かった…目覚めたらっ…雪居て、良かったっ…~~っ凄くっ…怖かった…」 「…ごめん。何回も、心配させてきたからだ」 「雪っ…雪っ…」 夏が、俺の存在を確かめる様に、背中に何度もしがみ付く 「夏…朝起きたばかりなのに、夢見る位熟睡出来るなんて、凄いね?」 「いくらでもっ…寝れる」 「ねぇ、夏。また、あれ言ってよ。あさってまでってやつ。夏に…凄く安心させる言葉言ってあげたいけど…沢山は無理だからさ」 「んっ…じゃっ…またっ…あさってまでっ…頑張ろ?」 「ん。あさってまでね?あさってまでなら、頑張れる。夏を置いて、何処かに行ったりしない」 ぎゅ~っと夏が抱き締めてくる 「~~っ…ほんとっ?」 「ほんと。死にたいと思っても…心配される様な事考えても…それでも夏のとこに、ちゃんと帰って来るから」 「~っ…んっ」 「だから…夢なんかで泣かないでよ」 「だって…凄い力で…引っ張ったのに...~っ雪っ…ほんとに死にたい時っ…俺の事っ…どうでもいいっ…~っ!」 うわ… 俺が枕に嫉妬したばかりに… 「ごめん、夏。俺が凄い力で引っ張ったせいで…せっかく帰って来たから、本物を嗅がせてやろうと思ったんだよ」 「かっ…嗅がせてっ」 「ぶっ!嗅がせてって犬か!変態め!」 ベッドの横に座ると ベッドの端に座った夏が、俺の後ろから、頭を掴んでクンクンしてくる 「何がいいんだか」 「匂い…手触り…気持ちいい」 「完璧な変態だな」 「変態でもいい」 そう言って、俺の首に手を回して 頭に顔を埋める 「ご飯適当に作ったから、冷蔵庫の中の物、チンして食べてね?」 「……えっ?何?雪、帰って来て、ご飯作ってくれたの?」 「うん」 「え~っ!起こせよ!せっかくの雪の料理姿見たかったのに!」 夏が俺の頭から離れる 「あまりにも、気持ち良さそうに寝てたから…でも、せっかく帰って来たから、やっぱり起こした」 「起こすのが遅い!料理する前に起こせ!」 なんだよ… さっきまで泣いてたくせに 「怒んないでよ。顔見に行っても熟睡だったんだから」 「はぁ…勿体ない事した」 俺の頭に戻って来た 何? 前世は鳥?
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