18人が本棚に入れています
本棚に追加
夏希side
いくら引き留めても、見向きもしないで行ってしまう雪の夢を見て
目覚めると雪が居た
いつか…夢じゃない日が来そうで…怖い
どうせ忘れられる意味のない印を付けた
せめて、自己満足の為に
俺の寝てる間に、俺だけの為の晩ごはんを作って
雪はまた、何時までか知らないバイトへと出かけて行った
そろそろ旭陽さんが起きてる頃
『雪は、バイトで帰り遅くなるそうなので、何時でも大丈夫です』
ヴヴ ヴヴ
『お昼休みに連絡します』
お昼休み
4、5時間後?
雪の父親が…分かる
「洗濯くらいしよ」
シーツを剥がそうとして
「…ったぁ~っ…あ、これダメなやつだ」
考えてみたら、シーツ変えるって結構大変
「やめとこ」
また、雪に怒られる
「お風呂入っちゃお」
気を付けてシャワーを浴びて
髪乾かして
適当にテレビつけて、ボーッとして
雪…
聞いたらどう思うだろう
会ってみたいって事は…
少しは期待もあるのかな
それとも、確かめたいだけ?
ほんとに殺しはしなくても
殴ったりする?
しなさそう…
人を傷つけられないもん
だったら…
会うだけ会って
その場から立ち去りそう
白峰さん、何時頃帰って来るのかな?
もしも、ほんとに白峰さんなら
イチゴ貰いに行ってた時間に、行ってみようかな
突然…びっくりするだろうけど…
「ご飯、食べちゃお」
早めの晩ごはんを済ませて、片付けて
雪の部屋へと行く
机の上の写真…
「おばさん…聞いちゃっていい?雪…会ってみたいって言うからさ…旭陽さんに…聞くね?」
1度も…会わせようとしなかったんだ
誰の為?
雪の為?
父親の為?
でも…
「上手く行く様に…見守ってて下さい…」
おばさんに手を合わせる
すぐにじゃなくても
最高の結果に結びつく様に…
良かったね、雪って
言ってあげれる様に…
ヴヴ ヴヴ
『お昼休みです』
『電話しても大丈夫ですか?』
来た
「ふぅ~…」
緊張する
『大丈夫です』
ヴ~ ヴ~
「もしもし」
「あ、夏君?久しぶりだね。怪我大丈夫?」
「大丈夫です。突然すいません。雪が…父さんに会ってみたいって…言ったので……でも、もしも…会わない方がいい様な人だったらと思って…」
「雪君の父親は…俺も、よくは知らないんだけど…もしも、雪君が会いたいって言った時にって、一応名前だけは聞いてたんだ。姉さんの友達に聞くと、よく分かるとは思うんだけど、俺は会った事がないから、どんな人かは分からないんだ」
名前だけ…
名前…
「旭陽さん。父親の名前って…」
「名前は、白峰 彩雪って言ってたよ」
「……白峰……っ白峰さんっ…」
どういう感情か分かんない…
多分…雪も…
「えっ?……知ってるの?…まさか…雪君も?」
「…ご近所さんなんです」
「ご…ご近所さんって…その…マンションの?!」
「はい…同じ階で……たまたま、雪が声を掛けられて、イチゴ貰ったり…してて…」
「声って…じゃあ…向こうは知ってるって事?」
「分からないです。イチゴは凄い量だったので、有り過ぎて困ってるってのは、本当だったと思うけど……雪は気にしてなかったけど、初めて会った時、雪の兄ちゃんかと思う位、雪に似てました」
やっぱりそうだった
白峰さんで良かったと喜ぶべきなのか…
「…っはぁ~…姉さんの仕業かも…」
「え?」
「最初…別の場所考えてたんだ。けどね…それぞれ色んな理由で…スムーズに契約出来なくて…そこ…4箇所目なんだ。4は…姉さんが1番好きだった数字なんだ。皆、縁起が悪いとか言うけど、幸せの4だよって。四葉のクローバーって言うでしょって…言ってた…」
「…おばさん…っ会ってもいいって…言ってくれてるっ?」
わざわざ…
俺が傍に居て会える様に
気付ける様に同じマンションの同じ階にして
雪に…話し掛けれるタイミング作って…
そう言えば
雪が白峰さんに会った日は
久しぶりに、おばさんに会いに行った日だ…
「~~~っ…旭陽さん…雪が…白峰さんに会ったのっ……久しぶりに、アパート帰って…おばさんに会って来た…帰りなんです」
「えっ………夏君…白峰さんは…どんな人?」
「っ凄くっ!凄くっ!優しい人です……だからって…雪が、どう受け止めるかは分からないけど…白峰さんだったら…会わせてあげたいっ…」
「……白峰さんは…気付いてそう?」
「最初からなのか…途中からなのかは分からないけど…雪の話聞いてると…多分気付いてると…俺は思ってます」
「…………っはぁ~~~~…」
長いため息の後、旭陽さんが話し出す
「姉さんの葬儀の時…うちの両親が来て、雪君に酷い事言ったんだ」
「もしかして…汚らわしいって…やつですか?」
「っ!雪君…言ってたんだ…多分…そのせいで……父親に対して凄く悪い印象持ってると思う。姉さんは、悪く言った事なんかなかった。けど…雪君、トイレで吐いて…顔を壁に打ち付けて…この顔っ…気持ち悪いって言ってたからっ…」
その時から…なんだ
旭陽さん…
今も雪…鏡の中の顔…
潰してます
「どんなにいい人でも…うちの両親のせいで、どう…感じるか分からない…ほんとは…俺が近くに居てあげたいけどっ…」
「旭陽さん…白峰さんは…多分、雪が罵声を浴びせても、殴っても、もう顔も見たくないって言っても…怒る人じゃないと思います。雪が…雪にとって…どうなのかは分からないけど…雪が会ってみたいなら…その相手が白峰さんなら…会わせてやろうと思います」
「~~~っ…そうだね…雪君も、もう…あの時の姉さん達と…同じ歳だもんね…親戚でもないのに、夏君に任せっぱなしでごめんね?」
実は…
恋人になったんです
とは言えないよな…
言えたら…少しは安心するだろうけど
「じゃあ…様子見て…白峰さんと話してみて…もっかい雪とも話して…会うってなったら…また連絡します」
「うん…何も出来なくてごめんね?よろしくお願いします」
最初のコメントを投稿しよう!