夏希side

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夏希side

す~ す~ す~ びっくりした アレの後は どんなに体拭いてくすぐったがったって ちゃんと起きた事ないのに くすぐったくもないのに起きた 「はぁ~…なんで背中見られたかなぁ」 あんな傷だらけになる位のものなのに どの位堪えてたんだ? って… 俺の後ろ姿見た時か そう言えば 前にも、雪の部屋出ようとした時あったな 後ろ姿で、部屋を出ようとした時に発動されんのか? 「ん?…げっ!!」 雪の右腕を拭いてると、肩の下辺りに 爪の…痕だよね? 傷ついたとかのレベルじゃない 掘れてる とにかく…救急箱 これ… 普通に消毒していいのかな 絶対滲みる なんなら、見てるこっちも痛そうで 消毒もしたくない もしかして、寝てたら雪でも痛いのかな 「雪、ちょっと滲みるよ」 う~…痛そう… 「…ん~…ん、ん~?」 なんか、唸ってはいるけど 寝てる 信じられない 寝てても痛がらないのか 熟睡度が半端ないのか ペタッ よし、と まったく… 俺の背中の心配してる場合じゃない こっちの腕は? 「うわ…」 こっち… 自分で、カッターで切った傷の上じゃん? まあ…そんなの考えてる余裕ないだろうけど なんで少しも痛そうじゃないんだよ こっちも消毒するよ~ 「ちょっと、痛いからね~」 痛い痛い痛い 痛くないけど う~… 「ん~…ちょっと…」 お… さすがに痛いか? 「目玉…出てくるんだから…」 は? 目玉出てくる? 「ぶっ…くっくっ…どんな夢見てんだ?」 ペタッ よし、と ベリッ は? なっ… 「何してくれてんの?!お前!」 今貼った絆創膏を、一瞬で剥がされた 「……うるさぃ……目玉…出れなく…なる…」 え~!! 目玉、ここから出る予定なの?! 「ぶっ…!くっくっ…目玉…別の場所から…くっくっ…出る事になったよ?…くっくっくっ…」 夢ん中覗きた過ぎる 「…ちゃんと…開けとけ…」 なんで偉そうなの? 「と、いう事で、ここは閉じる事になりました~」 ペタッ おお… 剥がそうとしない 通じてる 「くっくっくっ…くっくっ…面白すぎる…お前…」 痛がる心配してたら 笑わされた なんで、あんな乱暴に剥がして痛くない訳? 剥がした瞬間、飛び起きるだろ 目玉の心配してる場合じゃねぇよ 「ぶっ…!」 ヤバい 思い出す度笑える 今すぐ誰かと共有したい 「さてと…続きだ。お手柔らかに頼むぞ?」 なんか、徐々にくすぐったがり具合が、パワーアップしてる気がする 「まず、背中拭くぞ~」 「…んっ……あっ…!…やっ!…~~~っ!」 今日の汗凄いんですけど これ、服着てちゃダメなやつだ 「なぁ、服脱がせちゃうからな?」 嫌がって、横向きから仰向けになった雪の服を脱がせる 「んっ!…んあっ!…やっ…」 「ん、もう脱ぎ終わるから」 服脱がせんのに、色んなとこ触るもんだから これでよく、くすぐったいのは俺だけとか言えたもんだ 生まれつきだろ 「うしっ…これで前も拭いたら終わり」 「んっ…やめっ……ゃっ…んっ…やめっ…」 ぶんっ 「…っと…暴力はんた~い」 突然襲ってきた、パンチなのか何なのかを避ける 「あ…脇まだだった」 「んゃあっ…!…やっ…やぁっ…」 「まあ、脇はな、誰だってくすぐったいよな?」 「う~っ…ぅあっ…ゃぁあ~っ!」 はいはい…終わり 「んむっ?!」 「んっ!…ん…」 雪の胸の上に、ガッチリ頭押さえつけられた ちょっと… 鼻痛かったけど?! 顔を横向きにすると 「んやっ!」 ガッチリ頭押さえられる いや、分かるけどさ こっちも嫌なのよ 中腰で頭だけ押さえられてる辛さ分かる? 腰も首も辛いのよ 何より… 無心になって体拭けなくなっちゃうから! ベッドに手をついて、上半身を持ち上げようとすると 「…んっ…はっあっ!…やぁっ…!」 益々力を込めて、俺の頭を押さえつけてくる どういう仕組み? 「ちょっと…雪…ギブギブ」 「んんっ…!」 あ…そっか 息…とか、動く時の、服とかもダメなんだ これは… 頭の上の手を掴む ぐぐぐっ… 「んん…?」 さわさわ いや、頭撫でてる場合じゃない! でも、お陰で力抜けて手を頭から退けれた 念の為、両手を掴みながら ゆっくり、ゆっくり体を起こす 「…っはぁ~…お前な…」 あれ? なんか… これ… ヤバくない? 涙浮かべた雪が 上半身裸で 俺に両手押さえられてる ヤ…ヤバッ いやいや さすがに寝てんだからダメでしょ でも…キスくらいいい? どうせ...雪起きないし 起きても忘れてるし ゆっくりと、雪に近づき… 視界の端に… 雪の腕が… はっ! バッ…と雪から離れる なっ…何やってんの俺… 布団を掛けて、さっさと部屋を出る パタン あっ… 危なかった~! あんな状況で襲うなんて 俺、人として終わりそうだった 雪の腕の怪我が目に入らなかったら… 「……最っ低~」 雪が、闘った後なのに 闘って疲れて眠ってるのに 自己嫌悪… ガチャ 「雪…起きたのか?大丈夫?」 「……眠い…」 「体だるいだろ?学校、無理しないで休んだら?」 「……行く」 幽霊みたいに、トイレに消えてった どんなに疲れてても 雪は、バイトだけじゃなくて、学校も休もうとしない おばさんと、沢山の人達のお陰で通えてるから そういうとこだけ、バカ真面目 顔を洗い終わると クンクン クンクンと戻って来る 「なんか、美味しそうな匂い」 「ハムエッグと蜂蜜バターだ。雪、蜂蜜バターは、甘くても食べれただろ?」 「うん♪︎」 甘いの苦手だけど これは食べるんだよなぁ 甘じょっぱいは、許されるのか? 「んまいっ!」 「おお。いっぱい食え」 素直で、純粋な雪 このままで居てくんないかなぁ… 「夏、今日も休み?」 「もう、大丈夫だとは思うけど、今日1日念のため」 「うん。それがいいと思う」 「ふっ…お前、俺の心配は出来んのな?」 「そりゃ、大切だからね」 「えっ…」 「あ…」 雪の顔が、みるみる赤くなっていく 「…~っ違うっ……くないけどっ…そういうんじゃ…ないっ…訳じゃないけどっ…」 「……ありがと。俺も、雪の事大切だよ」 「~~~っ!なっ…なんで夏っ…そういうの、面と向かって言って、平気なの?!」 「恥ずかしいより…嬉しいの方が大きいからかな」 「イ…イケメンぶるなっ!」 「イケメンぶるって何だよ?」 あんなに… ほんとの物は何にもその目に映ってないみたいな目で 俺に、キスしまくってたのに… 「……ほんとにっ…嬉しいんだ」 「…~~っそっ…その顔禁止っ!」 「ふっ…どの顔だよ?」 「その顔も!禁止!」 「雪…大切だから…好きだから…大事にするから…傍に居てよ」 「~~~っ!…だからっ!離れたくても…離れらんないんだっ…て…言ってんだろ?どうしてくれんだよ…」 俺、頑張るからさ 最良じゃなくても せめて、雪が少しは良かったって思える様に 沢山頑張るからさ 「また…あさってまで頑張ろう?雪」 「……あさってまで…なら…まあ…頑張る」 そしたら あさってじゃなくて もっと未来の事一緒に話せるかな 一緒に…話したいよ 雪…
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