夏希side

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夏希side

「ただいま~っと」 雪、ちゃんと寝てるかな~ 静か~にドアを開けると す~ す~ と寝息が聞こえる エライ エライ 頭を撫でると 「……め…て」 ん? 寝言? 「雪、どうした?」 「…やめ…てよ…」 こいつ! 頭撫でただけなのに、やめてだと?! もっとガシガシ撫でてやろうとした時 「…母…さん……」 あ… 「……しょに……ないで…」 「大丈夫だよ、雪。大丈夫」 布団の上から抱き締めて額にキスをする す~ す~ 「おやすみ…」 そう言って立ち上がり、気付く おばさんの写真に…イチゴ おばさんと…話してたのかな… 写真か…夢でしか話せないんだな…… 静かに部屋を出て、洗面所に向かう 手を洗って、うがいをして気付く ちょうど顔の辺りの鏡が曇ってる たまに... どうして、こんな所が汚れるんだ? と思ってた いつだったか… 不思議な形が分かる様に付いていて 手形じゃないし… 何だ?… それを拭いてると 自分の左手を置いてた部分がまた汚れ 何やってんだと、拭こうとして さっきまでの形に似てる事に気付く もう1度さっきの様に手を置いてみる 手を握って…小指側を付けて... この形だ なんで… こんなのが… じゃあ、これ全部? よく…分からなかった 汚れてるのは、いつも顔の辺りで 顔の辺りに… なんでこんな形の手形が? 心霊現象だったらどうしよう 雪には言わないでおこう 「全然俺を許せない!鏡見る度に消したくなる!母さんに似てる場所まで壊すの…悪いと思うけど……この体全体が、気持ち悪い細胞で出来てるんだ。毎日…毎日……そう思って生きてくの……辛いんだ……」 ああ… そういう事だったんだって思った 鏡の汚れを拭く いくら…俺が大切だと言ったところで 雪も、そう思ってくれたところで こういうのが解決する訳じゃないんだろな 鏡を見て… 自分の顔を… 潰すかの様に…… 「……っ!」 冷蔵庫から飲み物を取ろうとして、イチゴが2袋入ってる事に気付いた 白峰さんとこ行ったんだ さっさとシャワーを浴びて イチゴを洗う 雪…白峰さんに、名字教えたのかな 普通教えるよな? そしたら… 白峰さんが雪の父親なら 気付くんじゃないかな 子供できたって知らなかったとか? だったら、たまたま同じ名字くらいにしか思わないか 俺の事は柊崎(くきざき)君 雪の事は雪君 そう呼ぶのには意味がある? 雪がそう呼んでって言っただけ? いつ…鏡見て1人で苦しんでたんだろう 朝…俺が出た後? 空閑(くが)と馬鹿みたいな会話して 食堂でご飯食べて 心配で連絡したら 1人で大丈夫?にだけ、なかなか返事返ってこなくて… 電話した 電話の声は、いつも通りで 掃除したり イチゴ食べたり 雪が家に居るってだけで安心した けど… 雪はいつも戦ってるんだ 色んなものと… 「旨っ…」 明日は土曜日 昼からのバイトだけ 旭陽さんに…連絡してみようかな イチゴを持って、ソファーに座る 22:00って事は向こうは14:00 仕事中かな ま、寝てる時じゃなきゃいいだろ えっと… 『お久しぶりです。雪は今、ぐっすり眠ってます。突然ですが、雪の父親の事って、何か知ってたりしますか?』 送っとけば、そのうち見るだろ そう思ってイチゴを3個食べたところで ヴヴ ヴヴ ん? 旭陽さん?! 早っ! 『久しぶり。今お昼休みだよ。突然どうしたの?』 『雪が、父さんに会ってみたいって言ってたんです』 『旭陽さん、何か知ってますか?』 旭陽さんに… 俺と雪が付き合ってるって知られたら 慌てて帰国して 即刻追い出されるかもな ん? なんか…床綺麗だな あれ? なんか…すげぇ綺麗だな 床に這いつくばって見る これは… 「あいつ、やったな」 床掃除なんて、思いっきり手首力入れるのに なんで、黙ってるって事が出来ないんだ? 家でゆっくりしてる事なかったのか? 「今日…夏の家、寄ってってもいい?」 「いいけど?」 「やった!」 「せっかくだから、たまには晩ごはんも食ってけば?」 「その前には帰るよ」 雨の日の雪… 何か…家に長い時間居たくなかったんだろう それは、もしかしたら 雨の日が強いだけで 毎日だったのかもしれない じっと待つのが嫌で… じっとしない為の何かを いつも、していたのかもしれない あれ? 旭陽さん、仕事戻っちゃったかな? まあ…急ぐ事でもないしいいか ヴヴ ヴヴ お、旭陽さん 『ちゃんと帰国して話したいんだけど、予定の調整難しくて無理そうです。すいません』 帰国?! 帰国しようとしてたの?! 話だけ聞ければいいよ でも、話すって事は……何か知ってるんだ 『話聞ければ大丈夫です』 『どんな人なのか、確認してから雪に伝えたくて』 『時間ある時に、教えて下さい』 『俺は明日、昼からバイトなので、昼前には家出ます』 『バイトは19:00頃終わる予定です』 白峰さんなのか聞いてしまいたい気持ちと 聞いて、すぐに分かってしまうのが怖い気持ちと 「はぁ~…」 俺でこんななら、雪…大丈夫かな... ヴヴ ヴヴ 『分かりました。バイトが終わったら連絡下さい』 明日… 雪の父親について... 『分かりました』
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