夏希side

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ん…?…なんか…寒い 背中…寒い… 布団…かかってない? あ…あったかくなった… あったかいけど… なんか…苦しい 「…くる…し…」 「あ、ごめん」 ん? パチッ なんか今、雪の声… この…手… 「雪?」 振り向くと 雪が俺の後ろから抱き締めてる え? 朝… 俺の…部屋… 「どうした?」 くるっと雪の方を向こうとしたけど… ガッチリしがみ付かれてる 「雪?大丈夫?怖い夢見た?」 「……見てない」 落ち着いてる… アレじゃない けど… ふざけてもいない 前に回してる雪の手を上から握る 「どうした?」 ばあちゃんの夢でも見たか? おばさんの夢か? それとも…死にたくなったか? 「雪。何言っても怒らないから言ってみろ」 そう言うと 「~~っ!…夏…」 泣いてる? 「うん?」 「…ごめんなさいっ…」 「なんで謝るの?」 「…っ……うっ…ごめんっ…」 よく…泣く様になったな 本物の感情を出してくれるのは嬉しいけど 「雪、そっち向きたい」 そう言うと、手を緩めてくれた 振り向くと、うつ向いて、肩震わせて泣いている あの鏡を思い出す 昨日…何かあったのかな 雪の顔を胸に寄せて抱き締める 「雪?何があったのか話せる?話せなかったらいいよ。どうして欲しいか言って?」 「…うっ…うっ……っっ…夏っ…ごめんっ…」 「うん。いいよ」 「…夏っ…のっ…~~っ背中っ…うっ…」 「…俺の背中?」 「…っ…うっ…俺のっ…せいで!…傷っ…ごめんっ…」 あ… 見られた… 「そんなの、たいした事ないよ」 そう言うと 俺の胸で、ぶんぶんと頭を振っている 「~っっ…夏っ……今度からっ……逃げてっ…」 「ふっ…逃げれる訳ないだろ?」 「夏のっ…背中っ…っ…~っ!もうっ…傷付けたくないっ…」 「ありがとう。でもね、雪。雪の方がもっと酷い傷なんだよ?」 雪を、ぎゅ~っと抱き締める 「おっ…俺の傷はっ…治ってきた…夏のはっ……俺が居るとまたっ……うっ…もうやだっ…」 「違うよ、雪。雪のは、見えないから分かり辛いんだよ。けど、俺のこんな傷より、沢山あるんだよ。ねぇ、こんなんで、雪のが少しでも軽くなるなら全然いいよ。これくらい全然平気だから…」 もっと…楽に… 楽しく生きて欲しいのに… 「夏がっ…俺のせいで傷付くのっ…やだっ…」 「ん…俺もだよ。雪の傷が、少しでも癒えるなら…こんなの何でもないよ。それに…雪が苦しいの…ほんの少しだけでも、分けて貰えてるみたいで嬉しい」 「苦しいのっ…貰って嬉しいの?…夏っ…変態?」 「誰が変態だ!雪の苦しいの、ちょっとでも共有出来て、それで雪が少しでも楽になるなら、嬉しいだろ。その役に必ず俺を選んでくれるのも嬉しい」 「…っ…やっぱ…変態だ」 なんで、俺の部屋来たのかな 夜這いならぬ朝這い? 俺、背中出してた? それとも… ずっと気にしてた? アレの時… こんな事考えてる余裕なんてなさそうなのに どっかで考えてたのかな それでも、やめられないだけの… どうしたらいいんだろう 病院行って薬飲ませる? 絶対、ちゃんと続けてくれなさそう 「雪…キスしていい?」 「…っ…変態じゃっ…ないのならっ…いい」 「変態のキスって何だよ…」 「知らないっ…!俺っ…夏みたいにっ…変態じゃないもん」 「あっそ」 朝起きて…考えたのかな たまたま見に来て、見てみようと思ったのかな 昨日の夜から…思ってたのかな 「…んっ…んっ……はぁっ…ぁ…んっ…」 おばさんの写真にイチゴ置いて 写真の中のおばさんに話し掛けて 「…んっ…ふぁっ…はっ……んっ…んんっ…」 自分の顔見て… 消してやりたいって気持ちと戦って 鏡…叩いて 「ふぁっ…はっ…んんっ……んっ…んはっ…」 なんで…楽しい事ないの? なんで…苦しい事ばかりなの? それなのに…俺の心配なんかしてる場合かよ… 「んっ…んんっ?……ふぁっ…んはっ……なっ…夏っ…」 「うっ……うっうっ…雪…」 「なっ…何で泣いてるの?!」 「ごめっ…」 俺が泣いてどうすんだよ 「ごめんじゃ分かんないよ!何?!何かあったの?昨日?学校?バイト?」 だから… 雪は、もういっぱいなんだから 俺の心配させてどうすんだよ 「夏!泣いてちゃ分かんない!何?!誰?!あっ…!空閑(くが)?空閑にまた何かされたのか?!」 「ふっ…空閑…どんだけだよ…」 2人して泣いてどうすんだよ 「あいつなら、やりかねない!夏…死守して欲しいけど…耳触られたらもう終わりだから…」 「終わりって何だよ」 雪…なんか元気になった? 「…んっ!…ちょっ…!!」 「ほら、ちょっと耳触っただけで、こうだもん。夏なんか、何されたって抵抗出来ないよ……夏…ちょっと仰向けになって?」 「ん?」 言われた通り仰向けになると 肩の辺りを触ってくる 「…もう…薄くなってきてる」 ああ… キスマーク 「じゃあ、新しいの付けとく?」 「付ける!」 「ふっ…頑張って」 「乗っかっていい?」 「いいよ」 俺の上に跨がると ん~…と言いながら、首やら鎖骨やら触って 頭を傾げている 可愛い 今日、土曜日だから 月曜日には薄くなってるよ? 「ここだと…見える?」 「見えてもいいよ。雪の好きなとこにしな?」 「じゃ…じゃあ……ここは?」 「ふっ…何処でもいいって」 「うっ…イケメンぶんなよ!」 「イケメンぶるって何だよ」 「うるさい!黙ってろ!」 男前だなぁ
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