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納得したか?とでも言うように首を傾げながら様子を伺ってくる彼に、苦笑しながらも脳内にはまた新しい疑問が浮かび上がってくる。
なら何故普通の人間である自分の事を、人間ではない彼はずっと見てきたかのような口ぶりで全て知っているというのか。
彼の先程の荒ぶった風な言動や、この甘やかな行動から想像出来なくもないがそんなお伽噺のような事が自身に起こるはずが無い。平凡なはずの自身に起こっているはずが無いと。
何処か否定しきる自分が居て彼の口から聞くまではと認められない。
すっかり大人しくなった七瀬の雰囲気に彼は納得したと思い込み、また触れて来ようとソワソワとしていた。
「もう一つだけ、聞いても良いですか?」
納得して落ち着いていたと思っていた七瀬からの新たな質問が出て来る気配に、彼はキョトンとしながらも何だ?と黙って首を傾げた。
「じゃ、じゃあ!これだけ……これだけ答えてください。貴方と俺の関係って、一体何なんですか?」
七瀬のその質問に、彼は再びキョトンとしてさも驚いたというように固まる。
当然の質問をした筈なのに、その反応には七瀬も首を傾げる他無かった。
「……わからないのか?先程から俺のスキンシップを拒絶しないから、理解しているとばかり。…こういった行為は愛し合う番のみに許される行為なのだろう?」
…ツッコミどころは満載だが。またしても番。番である。せめて恋人やカップルや夫婦だと、他の言い方をこの人外には教えねばなるまい。
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