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うーん…と唸りながら考えていた彼を横目に、俺はそわそわと待つ。
また彼に名付けて貰える嬉しさに期待で顔が緩んでしまいそうになる。
誤魔化そうと、彼の淹れてくれた紅茶にくちをつけた。
味が同じだ。彼が昔淹れてくれた紅茶と。
驚きつつグビグビと飲んでいると、ふと彼が顔を上げた。
「紅茶お好きなんですか?」
「ん?ああ、これはとても好みの味だ。美味い」
すると彼は、ハッとした顔をし瞳を輝かせて言った。
「じゃあ、紅にしましょう!音も字も綺麗だし、どうです?……ちょっと雑過ぎます?」
雑なわけがない。彼が考えてくれた呼び名に間違いなど無い。
そして、かつては紅色だった俺の瞳に対する呼び名があった事を思い出し、強ち間違いではない命名だと密かに思った。
「いや、良いよ。君が考えてくれたものなら、何だって嬉しい。改めて紅だ、よろしく頼む」
「ふふっ、よろしくお願いします紅さん」
新しい自らの呼び名をさっそく名乗り心踊る俺と、何処か嬉しそうに名付けたばかりの名前を口にする君。
幸せなティータイムだ。
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