1.5 謎の彼目線

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君が嘆くからそれを解決しようと思ったのだが、何か違ったのだろうか。落ちても何も味は変わらないのだし、何がだめなんだ。 「とにかく、落ちた物は食べちゃだめなんです! 床を舐めるなんて事は、もってのほか!! 犬じゃないんですから… そんな事はやめてください」 とにかくだめらしい。 七瀬の剣幕の勢いに圧倒され、どこか居た堪れなくなり無言で頷いた。 ん?犬なら良いのか? 「犬なら良いのか?」 そうか。そうとなれば解決策が見えた。 「いや…それは言葉のアヤと言いますか…」 解決策が見えたのなら、彼の嘆きを何とかせねば。 七瀬の続きの言葉を聞く事もなく、俺はちょっと待っててくれと言い残して隣の部屋へ移動する。 一瞬振り向いたときに見えた彼の表情が少し不安そうだったが、まあ良いだろう。 これで解決し、彼の表情は喜ぶ顔に変わるはずだ。 俺は服を脱ぎ、ひとつ深呼吸すると彼の元へ戻るべく部屋を出た。
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