1.5 謎の彼目線

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危機感の薄過ぎる七瀬に堪らず、鼻先が近いのを良い事に七瀬の唇をペロッと舐めてやる。 「わッ!! 冷たいなぁもう…… 」 …… それだけなのか? 俺に舐められたかも、キスされたかもは無いのか? 全く頭が痛くなりそうだ。 フンスッと溜息を吐けば七瀬が頭を撫でてくる。 「…ふふっ…… 何か可愛くなってきちゃった」 そんなに撫で摩っているが俺なんだぞと言ってやりたい。 警戒心が無さ過ぎやしないか、このまま押し倒したとしても今の七瀬は気にも留めないんじゃなかろうか。 いやそんな真似はしないが。 俺の不満などを他所に七瀬はモフッと抱き着いてきた。 「フカフカだ〜〜…… 俺ってこんなに犬好きだっけ、いや今日から犬好きかも〜…へへ」 やめろ…この姿の時は人の時より興奮しやすいんだ、勘弁してくれ。 抱き締められているせいで俺の鼻先が七瀬の頸の辺りに位置し、風呂上がりの匂いと共に体温に乗せられて七瀬自身の体臭が漂ってくる。 あああ……辛い。 なんて拷問だ。 記憶にある中の拷問でもそこそこ上位だぞ、俺史上。 脳内がポーーとし始めてきて少々危うさを感じ始めてきたので、さすがに七瀬から離れるために体を離そうと身動ぎをする。
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