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衣服を身に付けてリビングに戻ると、慌ただしく身支度をしている七瀬が居た。
ガタン!
「大丈夫か?」
まだ動揺しているらしく、落ち着きが無いなと思っていた矢先に足を机の角にぶつけたらしい。
「だ、大丈夫です…… すみません俺さっきちょっと失礼してました、よね」
「いや問題…… 無い事も、無いがまあ大丈夫だ。気にするな」
実際こちら的には問題は大アリだったので少し言い淀んでしまったが、人の時よりも心を許してくれていたように感じた事は嬉しかった。
「ベタベタしちゃってすみません…… 気持ち悪かったですよね…」
気持ち悪いより気持ち良くて困ったのだが、これは言えそうにない。
「それより突然あの様な姿を見た君の方が複雑だっただろう。驚かせてしまってすまない。ああすれば君の機嫌が治るかもしれないと思ったんだ… …実際には、失態に失態を重ねただけのようになってしまったが」
「いえ、確かに最初驚きはしましだが…… 何だかあれはあれで何処か腑に落ちたので大丈夫です。紅さん、犬だったんですか?」
ただの犬では無いのだが、何と説明したものか。
これはまた長い話になってしまうし、またも七瀬を混乱させてしまう気しかしないのだが。
とりあえず犬という事にしておくべきなのだろうか。
既に身支度を整えた七瀬は玄関へ向かおうとしているところで長話などしている場合では無さそうだ。
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