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そろそろ追われ始めてから走りっぱなしだったせいか、足が縺れ始めて来る。もう足元はガクガクで今にも崩れ落ちそうだ。
ここで転んでしまえば怒られるだろうか。最悪殴られてしまうかもしれない。
しかし、恐怖の気持ちとは裏腹に体は身勝手にも限界を迎えてしまい、無意識のうちに膝からその場に崩れ落ちてしまった。
直ぐに立ち上がろうとするが足腰に力が入らない。それどころか呼吸もままならない。駄目だ。もう走れない。
俯いたままの七瀬の目の前に大きな影が出来た。
恐怖で顔を引き攣らせ、恐る恐る顔を上げてみれば、意外にも男は驚き目を見開いて七瀬のすぐ傍に跪いていた。
「どうした、怪我でもしたのか。だが今は立ち止まってやれそうな状況にない。立てるか?」
あれ……?心配してくれてる?
慌ててその言葉に対して『立てない』と返事を返すも虚しく、息を吐くだけで声にはならず仕方無く首を横に振る事で返答を返した。
すると男は七瀬の目の前に背を向けて屈み、顎をしゃくった。所謂おんぶだろうか。
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