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「…… 昨夜、帰りに不審者に襲われかけたのを紅さんに助けてもらったんだよ。それで紅さんが怪我したから連れて帰ったの、それだけ…」 こんな職場の前で騒ぎ立てられては堪らない。 嘘は言っていないし、とりあえず軽く説明だけしておく。 「え、お前襲われたん?大丈夫か?怪我は無いんか」 心配そうに俺の肩に伸びてきかけた中津の腕を遮るように、力強い手が止めた。 「俺が守ったんだ。七瀬に怪我などあるわけが無いだろう。傷1つ付けてはいないから安心しろ」 先程までの飄々とした態度は何処へやら。 真剣な表情の中津を見つめる紅さんの瞳は先程よりも少し殺気立っており、彼特有の金の瞳が際立っている。 紅さんが苛立ちを見せはじめてきた。 やばい止めなくちゃ。 そんな紅さんの瞳を真っ向から見つめ返していた中津はというと、ニコッと笑い返した。 「そうか!お兄さんめちゃ強そうやもんなぁ、こんなに頑丈そうやし!ありがとーな七瀬の事守ってくれて」 あ、れ? 紅さんのあの威嚇した光る瞳を見ても、中津は怖くないのか? 平然とした態度の中津を見て、拍子抜けをくらったのは俺だけじゃないようで。 威嚇をしていた張本人の紅さんも、何処か毒気を抜かれたように目を見開いている。 「あ、ああ…… 」 「あーお兄さんじゃなくて紅さん、か?」
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