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2.出会い
通信制の学校も視野に入れていたが、悩んだ末に俺は地元の公立高校に進学することにした。
「俺らおんなじ苗字だね、よろしくな」
自分の席に着いて早々に前の席の男子生徒がそう言って右手を差し出してきた。
くりくりとした丸い目が、人懐っこい印象を与える。
「ごめん……先に言っとくけど、俺、変種なんだ」
拒むみたいに握りしめた手を机の上に乗せてそう告げると、もうひとりの浦野はちらりと白い小さな歯を覗かせて笑う。
「これは凄いわ。俺、変種の人に会うのも、同じ苗字の人に会うのも人生初だ」
「…………」
「それじゃ尚更よろしく」
ちょっと強引なぐらいの力加減で、もうひとりの浦野は俺の手を掴んだ。
海外の映画でよく見かけるような妙なハンドサインをしてみせると、彼は満足げに手を離す。
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