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平穏な学生生活を過ごしていた、ある日の放課後だった。
課題を提出して教室に戻ろうと廊下を歩いていると、ふと空き教室から音が聞こえてきた。
磨りガラスの小さな窓からピカピカと明かりが漏れている。
近づいて行くと、僅かに開いているドアの隙間から聞き覚えのある音楽が聞こえた。
懐かしい横顔と、タバコの匂いがふと甦る。
気付けば、無意識のうちにドアに手を掛けていた。
締め切った室内のカーテン、その前には一台のテレビが置かれていて、ボロボロのソファに座っている後頭部が気配に気づいてこちらを向いた。
振り返ったのは、渡辺だった。
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